社説1 株価下落が突きつける日本企業の課題(3/31)
株式相場の低迷が続くなか、多くの日本企業が2007年度末を迎える。米景気後退懸念が大きな株安要因であるが、そこには日本企業が成長していくための課題も潜んでいる。株安というシグナルが持つ意味を、経営者は考えてほしい。 150兆円。先週末までの1年間に失われた、東京証券取引所第1部に上場する株式の時価総額だ。日経平均株価が25%下落し、カナダの実質国内総生産(GDP)に匹敵する価値が消えた。サブプライムローン問題の震源地である米国の株価が1年前の水準にとどまっているのと比べ、日本の不振ぶりが目立つ。 株安が映すのは企業業績の悪化懸念だろう。上場企業の増益は08年3月期までの6期連続で終わる。株式市場では、そんな見方が増えている。今月、米メリルリンチが世界の機関投資家に実施した意識調査では、日本企業の業績見通しは世界の主要地域で最も厳しい。 円高の進行や原油高などの外部要因が収益を圧迫しているのは事実だ。しかし投資家が不安を抱く本当の理由は、内需が不振な分、米国に頼りすぎていた収益の構造にあるのではないか。そうした外頼みの体質を米景気の悪化が襲ったといえる。 そこから経営課題も浮かび上がる。比較的高い成長力を維持している新興国への収益源の分散である。早くから中東やロシアに布石を打ったコマツが、米国での逆風を新興国での伸びで吸収し、来期も最高益を更新する見通しなのは象徴的だ。 厳しい環境が続く国内では、攻めの戦略に向けた経営資源を確保する必要がある。業務の効率化による収益力のテコ入れが欠かせない。本業ではない子会社を多く抱える電機業界、少子化で長期的な需要の減退に直面する小売りや食品業界にとって事業再編の重みは増す一方だ。 株安は企業の規律の緩みを直撃した。敵対的な買収を避けるために復活していた株の持ち合いである。野村証券金融経済研究所によると、主要企業は05年度後半以降に4兆円の株を取得したが、1兆円の含み損が生じている。持ち合いをした企業の多くは、株の保有を通じた事業提携で収益にもプラスと株主に説明していた。目算は狂いつつある。今年の株主総会では、持ち合いの是非が焦点の一つになるだろう。 株式市場や業績の明るい見通しが続いた経営者が、逆風のなかで新年度を迎えるのは久しぶりである。経営環境は一変した。そのぐらいの危機意識を持たないと、グローバル競争で勝ち残ることはできない。
自己紹介
ブログ アーカイブ
-
▼
2008
(182)
-
▼
3月
(18)
- 年度末日経平均大幅反落、終値294円安の1万2525円
- 社説 株価下落が突きつける日本企業の課題(3/31)
- NHKへの意見 4月3日クローズアップ現代
- 日本株 円高で大幅な売り越し
- 米商品相場が急落、金一時1カ月ぶり安値・原油も下げる
- NY株価 利下げで大幅上昇 米住宅着工 2月も低迷続く
- 米FRB公定歩合を引き下げ 円急騰 一時1ドル96円台に
- 衝突1分前気づぃたは嘘っ八 直前気づき海上自衛隊
- 米FRB米国発経済危機食ぃ止め金融政策綱渡り
- 東証株価 2年半ぶりの安値
- NY株価 416ドル余急騰
- 日本の伝統守り世界にアピールの一工夫を
- 企業物価指数 高い伸び続く
- 1月の経常収支 黒字幅拡大
- GDP 年率3.5%に修正
- 東京市場でも原油や穀物高値
- 日本の正社員は過保護?・OECDが労働市場分析
- フリーター、4年連続減少・07年、181万人に
-
▼
3月
(18)
0 件のコメント:
コメントを投稿