2009年6月21日日曜日

不要な農水省

農水虚偽報告「悪しき慣行」
データ捏造 とがめず続行指示
 事故米やヤミ専従問題など不祥事の続く農林水産省で、今度はコメの減反政策の基礎となるデータに捏造が発覚した。同省は「組織的行為ではなく、あくまで個人の問題」と釈明するが、北は東北から南は沖縄まで全国の出先機関に広がる捏造の事例からは、同省の「悪しき慣行」が透けて見える。
 「調査先の協力を得られず、勝手に数値を作っているところがある」
 2007年4月、長野農政事務所(長野市)で、調査を担当することになった課長補佐(50)は専門官(55)からこう告白された。
 ところが課長補佐はとがめるどころか、専門官に捏造を続けるよう指示。結局、専門官は今年3月までに83回捏造し、減給3か月(10分の1)の処分を受けた。一方、課長補佐自身も08年3月までに27回捏造。本来、調査先に渡すはずの図書カード7000円相当も着服し、停職6か月となった。
 静岡農政事務所(静岡市)では今年3月、入院した課長補佐(51)が見舞いに来た課長(51)に対し、入院直前まで続けていたデータ捏造を打ち明けたが、この課長は課長補佐の調査先を引き継いで捏造、結局、2人とも減給3か月(10分の1)の処分を受けた。計55回の捏造をして停職12か月となった関東農政局(さいたま市)の専門官(42)の場合、調査のために出張しながら、駐車場で時間をつぶしていた。
 同省幹部は「最近は調査先に協力を断られることも多いので、困ってやってしまったようだ」と釈明するが、処分者のうち少なくとも5人は、一度も訪問したことのない調査先のデータも捏造していた。別の幹部は、「必要な仕事でもないのに続けてきた結果なのかもしれない。我が省の悪しき慣習だ」と漏らした。
(2009年6月22日 読売新聞)

組合書類を大量廃棄、農水出先機関で…「ヤミ専従」発覚後
 農林水産省のヤミ専従問題が発覚した今年3月中旬以降、東海農政局管内の複数の出先機関で、全農林労働組合の指示によって組合関係の資料が大量に廃棄され、同局などが「ヤミ専従に関する証拠隠滅の疑いがある」として組合に抗議していたことが21日、わかった。
 同時期に少なくとも5出先機関で資料が大量廃棄されており、複数の職員が「証拠隠滅を指示された」などと証言している。全農林は「庁舎の耐震工事などにあわせて整理しただけ」と説明しているが、農水省は事実関係を調べる方針。
 複数の職員の証言によると、東海農政局管内の複数の出先機関に、地元の組合幹部からの電話で資料廃棄の指示があったのは、省内にヤミ専従問題に関する特別調査チームが設置された3月19日。組合関係の書類はシュレッダーで処分するとともに、パソコン内の組合関係メールを削除するなどの内容で、書類の一部はその日のうちにシュレッダーで処分されたという。
 同農政局などは同月下旬、組合に「ヤミ専従の証拠隠滅をしようとしているのではないか」などと抗議。組合側は廃棄を指示したことは認めたが「人事異動に伴って古い資料を処分しただけ」などと回答したという。
 読売新聞が入手した九州地方の内部資料でも、「必要ない書類については直ちに廃棄する」「組合関係書類は机の上には一切置かない」とあるほか、「業務パソコン内の整理(メール、保存ファイルの削除)」「受信したメールは読んだらその都度削除」「必要なデータは持ち運べる記録媒体に保存し、業務パソコン内には残さない」などと事細かに指示項目を列挙し、「組合員へもこれらの事項を口頭で徹底する」としている。
 この資料を受け取った職員は、「組合からの連絡はメールで行われるのが当たり前だった。削除要請は、勤務時間内の組合活動を隠すため」と話す。
 同省では同月23日付で全国の出先事務所に対し、組合関係の資料を保存するよう文書で指示していた。
 読売新聞の取材に対し、全農林の花村靖書記長は、3月中旬以降に少なくとも東北、北陸、近畿、東海地方の五つの出先機関で資料廃棄が行われていたことを認めたが、「耐震工事などに伴って整理・廃棄しただけ。疑いをもたれるような対応があったことは遺憾だが、証拠隠滅ではない」としている。
(2009年6月22日03時03分 読売新聞)

全農林の資料廃棄、確認作業に着手…農水相会見
 農林水産省のヤミ専従問題が発覚した今年3月中旬以降、全農林労働組合の指示で、組合関係の資料が大量に廃棄されていた問題で、石破農相は22日午前の閣議後の記者会見で、確認調査を始めたことを明らかにした上で、「(大量廃棄が)組織的、計画的に行われたものだったのか把握しなければいけない」と述べた。
 また、東海農政局が、管内で大量の資料を廃棄した組合側に抗議したことについて、「労使ともに協力して(ヤミ専従の)実態を解明することになっている中、そういうことがあったとしたら極めて問題なので問いただした」と抗議した背景を説明した。
 この問題を巡っては、複数の職員が、ヤミ専従問題発覚後、組合側から資料廃棄を指示されたと証言。全農林側は、同時期に全国の少なくとも5か所の出先事務所で資料廃棄が行われていたことを認めているが、「庁舎の耐震工事などにあわせて整理しただけ」と説明している。
(2009年6月22日11時40分 読売新聞)