2011年11月2日水曜日

わずかの年金だけで息してるけど俺たちは死ぬだけだ

退職後の生活、年金だけでは不十分
老後のお金のすべて(3)

公開日時
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2011/11/2 7:00

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 本連載ではこれまで公的年金や企業年金といった年金について取り上げてきました。今回(第3回)は、老後の収支のバランスについて解説します。今後、年金の支給額が減ったり支給開始年齢が引き上げられたりする場合に、老後の収入と支出はどのようになるのでしょうか。いくつかのシナリオを立てて分析します。


■老後のお金Q&A


【Q】老後の生活費は、年金だけで足りますか。
【A】足らないと考えた方がよさそうです。2010年のデータでは、60歳以上の無職世帯の支出は月24万円程度。貯蓄などを毎月約5万8000円取り崩す状態です。

老後の生活費はいくらくらいかかるのか。総務省の家計調査 (2010年)によると、世帯主が60歳以上の無職世帯の消費支出は約24万円。内訳は図1の通りだが、月5万8000円不足する計算になるため、預貯金を取り崩してまかなっている。

図1 高齢無職世帯の収入と支出  世帯主が60歳以上で無職の世帯(世帯員が2人以上)の実収入は21万8388円、そのうち85%は公的年金などの社会保障給付が占める。消費支出は24万5870円で、食費は約6.2万円、住居費は約1.5万円。世帯主が60歳以上の世帯のうち、23%が高齢夫婦無職の世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)となっている。データの出所は総務省「家計調査」(2010年)。
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図1 高齢無職世帯の収入と支出  世帯主が60歳以上で無職の世帯(世帯員が2人以上)の実収入は21万8388円、そのうち85%は公的年金などの社会保障給付が占める。消費支出は24万5870円で、食費は約6.2万円、住居費は約1.5万円。世帯主が60歳以上の世帯のうち、23%が高齢夫婦無職の世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)となっている。データの出所は総務省「家計調査」(2010年)。


30~50代の現役世代の場合、生活費をさらに切り詰める必要がありそうだ。年金財政の悪化で将来、支給額が減ることや支給開始年齢が引き上げられる(年金をもらえる年齢が上がる)ことが予想される。また、支給額は変わらなくても、消費税 の引き上げ、医療費や介護費用の自己負担額引き上げで支出が今より増えると考えられる。

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    退職後の生活、年金だけでは不十分
    老後のお金のすべて(3)

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    2011/11/2 7:00

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    専門家への取材を総合すると、現役世代がもらえる年金は「今より3割程度減る」という人が多い。厳しく見積もって5割減の予想も含め、現在の高齢者並みに生活費を使うとどうなるか。60歳退職時に3000万円の金融資産があるとして、試算した(図2)。すると、今の高齢者と同額を支出した場合、65歳支給開始で支給額3割減の場合(将来1)は73歳で、67歳支給開始で支給額5割減の場合(将来2)は70歳で資金がゼロになってしまうことがわかった。

    図2 年金の支給条件が現行方式よりも厳しくなったときのシミュレーション 60歳で退職するときの貯蓄3000万円が、その後何歳まで持つかを「将来1」~「将来3」の3通りのパターンで試算した。試算条件は次の通り。[将来1]年金支給額が現在より3割減、支給開始年齢が65歳からで生活費月額が現在の高齢者並みの場合[将来2]年金支給額が現在より5割減、支給開始年齢が67歳からで、生活費月額が現在の高齢者並みの場合[将来3]年金支給額も生活費月額も現在より3割減で支給開始年齢が65歳からの場合
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    図2 年金の支給条件が現行方式よりも厳しくなったときのシミュレーション
    60歳で退職するときの貯蓄3000万円が、その後何歳まで持つかを「将来1」~「将来3」の3通りのパターンで試算した。試算条件は次の通り。
    [将来1]年金支給額が現在より3割減、支給開始年齢が65歳からで生活費月額が現在の高齢者並みの場合
    [将来2]年金支給額が現在より5割減、支給開始年齢が67歳からで、生活費月額が現在の高齢者並みの場合
    [将来3]年金支給額も生活費月額も現在より3割減で支給開始年齢が65歳からの場合


    どうすればいいのか。月の支出を現状より3割抑えて19.6万円とすれば65歳から3割減の支給でも90歳までもつ。実際、節約生活が身に付いた現役高齢者世帯の中には、この金額でやりくりしている人もいる。
    さらに60代以上の豊かさを左右する要素のひとつが、同じ世帯に家族がどれだけいるかということ。住友信託銀行が2011年にまとめたリポート「世帯形態別にみた60代以上の貯蓄と家計運営」によると、60代以上の世帯の1人あたりの貯蓄残高は、1人暮らしが1500万円強あるのに対して、夫婦と子ども世帯では750万円弱にとどまり、2倍の開きが生じた。子どもがいる場合は、早いうちから経済的な独立を促すなど、現役のうちから心がけておこう。

    (日経マネー 治部れんげ)

    [日経マネー2011年10月号の記事を基に再構成]

  • 図1 高齢無職世帯の収入と支出  世帯主が60歳以上で無職の世帯(世帯員が2人以上)の実収入は21万8388円、そのうち85%は公的年金などの社会保障給付が占める。消費支出は24万5870円で、食費は約6.2万円、住居費は約1.5万円。世帯主が60歳以上の世帯のうち、23%が高齢夫婦無職の世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)となっている。データの出所は総務省「家計調査」(2010年)。

2011年10月28日金曜日

日本経済の危機円高予想  年内「1ドル60円台」突入 ゴールは「50円」

「米国の要人が量的金融緩和(QE3)をにおわせたことが、ドル全面安のキッカケ。
これを境に為替マーケットの主要テーマは、ユーロ危機から米国の景気問題に移行。
本格的なドル売りのスイッチが入ったともいえる。
ドル円は今後1~2週間で『70~75円のレンジ』に移り、
そして早ければ年内に60円台に突入するかもしれない」

そうなれば、冷静さを装っている株式市場も大混乱に陥りかねない。
株式評論家の倉多慎之助氏は、
「株式市場は1ドル=75円程度の円高は織り込み済みなので今は大暴落が起きていない」
と話すが、  1ドル=60円はさすがに想定外だろう。
輸出企業の赤字続出は避けようがなく、株式市場は暴落に次ぐ暴落に襲われる。
平均株価はリーマン・ショック後の最安値6994円を割り込む恐れも出てくる。

「1ドル=50円」の到来を口にする市場関係者も増えてきた。
「輸出倍増」を指示した米オバマ政権のドル安容認の国策に、
マーケットが完全に乗っかり始めたからだ。
「まさか、そこまでは……」とのんきに構えていられる時代は終わった。
ジワリと進行する超円高のゴールは「1ドル=50円」に違いない。

(日刊ゲンダイ2011年10月27日掲載)

2011年9月16日金曜日

保安院 東電が愚図愚図と海水注入せず福島原発メルトダウンを起こした

炉心溶融防げた?海水注入4時間早ければ

東京電力福島第一原子力発電所事故で、
放射性物質の大量放出の原因となった2号機の炉心溶融(メルトダウン)は、
海水注入の開始が4時間早ければ防げた可能性が高いとするシミュレーション結果を、
日本原子力研究開発機構の渡辺正・研究主幹らがまとめた。


19日から北九州市で始まる日本原子力学会で発表する。
渡辺主幹らは、3月11日の電源喪失後の2号機原子炉内の温度や水位をコンピューターで再現。
今回の事故と同様に、炉への注水が14日昼頃に停止したと仮定、
何時間以内に注水を再開すれば炉心溶融が避けられたかを調べた。
その結果、14日午後4時頃までに注水できれば、炉内の温度は1200度以下に保たれ、
核燃料は溶けなかったとみられることがわかった。
2011年9月16日21時07分 読売新聞)

2011年9月10日土曜日

テロリストだったのか自民幹事長の石原は

自民党幹事長 首相の任命責任も

9月10日 17時44分 動画あり twitterでつぶやく(クリックするとNHKサイトを離れます)
自民党の石原幹事長は、青森県弘前市で講演し、鉢呂経済産業大臣が福島県の被災地を視察したあと、記者の体に触れるようなしぐさをしながら「放射性物質がうつった」などという趣旨の発言をしたことについて、「万死に値する」と批判し、野田総理大臣の任命責任も追及していく考えを示しました。

この中で石原幹事長は、鉢呂経済産業大臣の発言について「福島県から疎開して、『放射能が来た』とか『放射能をつけられる』などと、いじめにあっている子どもたちの心には、どんなに謝ろうが、大臣を辞めようが、一生、傷が残る。万死に値するもので、野田総理大臣の任命責任も国会で追及しなければならない」と述べました。さらに、石原氏は、鉢呂大臣が「福島第一原発の周辺の町村の市街地は、まさに『死のまち』という形だった」と発言したことについても、「一日も早く故郷に戻りたいと思っている人たちが何万人もいる。そこに暮らしていた人たちはどんなに傷ついたことか」と批判しました。また、石原氏は、アメリカの同時多発テロ事件について「産業革命から続いた西欧文明の支配、キリスト教支配に対する、イスラム圏の反逆で、歴史の必然として起こったのではないかと思う」と述べました。

2011年9月9日金曜日

9.11から10年~金価格6倍超 2001.9.11前夜と現在の価格差

NY金先物相場は2001年9月10日終値で1トロイオンス =273.7ドルだったが、
直近では1900ドルに迫り、6倍超の水準となった。NY原油価格も上昇を続け、
この10年で約3倍の水準になった。
「9.11」前夜の
終値
現在
米国債(10年、%) 4.842 2.046
日本国債(10年、%) 1.41 1.005
ドル(円) 120.06 77.14
ユーロ(円) 108.44 108.75
ユーロ(ドル) 0.898 1.4087
日経平均株価(円) 10195.69 8793.12
NYダウ(ドル) 9605.51 11414.86
NY原油(1バレル=ドル) 27.63 89.34
NY金(1トロイオンス=ドル) 273.70 1814.20

2011年9月6日火曜日

日経平均、年初来安値を更新…終値8590円

日経平均、年初来安値を更新…終値8590円

 
 日経平均株価(225種)の終値は
前日終値比193円89銭安の8590円57銭で、
今年の最安値を更新し、
2009年4月28日以来約2年4か月ぶりとなる安値水準となった。
東証1部の出来高は約21億100万株。
ギリシャの債務問題の深刻化などを背景に、
前日の欧州市場が急落したことを嫌気した売りが先行した。
さらに、アジアの主要市場も軟調に推移し、
再び、
世界的な連鎖株安の様相が強まるのではないかとの懸念が強まった。
投資家はリスク回避の姿勢を強め、
トヨタ自動車やソニーなどが今年の最安値を更新するなど、
主力の輸出関連株を中心に、幅広い銘柄が売られた。
東証1部全体の値動きを示す
東証株価指数(TOPIX)は14・62ポイント低い741・20。
東京電力株は、5円高の384円と3営業日ぶりに反発した。

東証寄り付き、続落 2週間ぶり8600円台、欧州株大幅安で

                                                               公開日時2011/9/6 9:26

   6日前場寄り付きの東京株式市場で日経平均株価は続落して始まった。
一時前日終値より100円超安い8600円台後半に下げた。
取引時間中に8600円台を付けるのは8月24日以来、約2週間ぶり。
米景気後退への懸念や欧州財政問題に対してユーロ圏諸国の足並みがそろわないことへの
不安から投資家がリスク回避姿勢を強め、前日の欧州株が大幅安となった流れを引き継いだ。
外国為替市場で円が対ユーロで上昇していることも重荷となっている。
5日の米市場は休場だったが、
欧州では独DAX指数と仏CAC40がそろって年初来安値を更新した。
独メルケル首相の地元の州議会選挙で与党が敗北するなど、
ギリシャ債務問題を巡る対応の難しさが浮き彫りとなったことも重荷となった。
市場では「東日本大震災直後の3月15日に付けた
年初来安値の8605円を割らなければ底入れムードも出てくる」との声が聞かれた。
東証株価指数(TOPIX)も続落。
トヨタ、ソニーが年初来安値を更新した。
キヤノン、ニコンも売りが先行している。東芝も安い。
半面、前日大幅に下落した日立金、東電や中部電、コメリなど内需関連株が買われている。

2011年8月31日水曜日

保安院 東電原発1号機の事故解析結果、官邸に報告せず 

経済産業省原子力安全・保安院は9月2日、
東京電力福島第一原発事故直後の3月11~13日、事故の進展を解析していたが、
1号機の結果は首相官邸に報告していなかったことを明らかにした。
発生時の政府内の連携の悪さが改めて示された。
森山善範・原子力災害対策監は会見で「理由はわからない」と説明している。

保安院によると、3月11日、関連組織の原子力安全基盤機構に
「緊急時対策支援システム(ERSS)」を使った解析を依頼。
原子炉の水位や圧力の変化や、燃料の溶融、原子炉が壊れる時刻を予測した。

1号機の解析結果は、基盤機構が12日午前1時57分に保安院に送信。
一部は事故による放射性物質の飛散状態を予測する
「緊急時迅速放射能影響予測システム(SPEEDI)」に使われた。
この計算結果も午前6時7分に出たが、保安院はいずれも官邸に報告していなかった。

保安院、官邸に報告せず…放射性物質の拡散予測

経済産業省原子力安全・保安院は9月2日、
東京電力福島第一原子力発電所事故の直後に
緊急時対策支援システム(ERSS)で算出した事故進展予測の結果を公表した。
全電源喪失から1号機は15時間22分、2、3号機は8時間35分で炉心溶融すると予測。
1号機の結果をもとに、「SPEEDI(スピーディ)」で放射性物質の拡散予測も行っていたが、
官邸の危機管理センターには、2、3号機のERSSの予測を送るだけで、
SPEEDIを含む1号機の予測結果は報告していなかった。
森山善範・原子力災害対策監は、
今回の予測も含めて保安院がSPEEDIで解析した45件のうち、
官邸には2件しか送付していなかったのを認めた上で、「(送付しなかった)理由は分からない。
SPEEDIを使うという思いが至らなかった。問題があった」と述べた。

2011年8月23日火曜日

NHK 原発報道の資格なし2011年8月21日(日)10時0分配信 日刊ゲンダイ

<運用資金あるなら受信料下げろ>

福島第1原発事故から、一貫して批判されてきたのがNHKの原発報道だ。
原子力村の御用学者を重用し、「メルトダウンはしていない」「安全だ」と繰り返してきた。
でも、実際はチェルノブイリ並みのレベル7で、国民はだまされてきたわけだ。
“皆さまのNHK”が、なぜあからさまな原発推進報道をしてきたのか。
どうもおかしいと思ったら、やはりNHKと電力会社はウラでつながっていた。
「平成22年度 財産目録、貸借対照表、損益計算書、
資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書に関する説明書」によると、
NHKは総額900億円超の事業債を保有している。
保有金額の上位5社は電力会社で、東京電力(保有数23/金額145億円)、
中部電力(9/68億円)、関西電力(12/65億円)、中国電力(10/51億円)、
東北電力(7/45億円)の順だ。
事故に関連して致命的な失態が明らかになり、
東電の会社存続がかなわなくなった場合、
ステークホルダーであるNHKも甚大な損害を被ることになる。
事故の闇に迫れば迫るほど、自分たちの首を絞めてしまうという関係。
これで中立的な報道ができるのか。
立大教授の服部孝章氏(メディア法)はこう言う。
「今回の事故で、東電は情報隠しを行ってきた。
それを暴く立場の報道機関が利害関係者では、視聴者は不信を抱く。
実際、3月の事故直後にどこよりも『原発は安全だ』と報じてきたのはNHKです。
NHKは、なぜ東電債を保有しているのか、なぜ資産運用が必要なのか、
会見を開いて説明すべきです」
3日に成立した「東電救済法」は、東電のステークホルダーを守り、
国民に負担させるというもの。
NHKが持つ東電債も保護された。
NHKは胸をなで下ろしているかもしれないが、国民は納得できない。
そもそもNHKは営利目的の民間企業とは違う。資産運用など必要ないはずだ。
運用に回すほどカネが余っているなら、受信料を下げるべきではないか。
これに対してNHK広報局は、
「視聴者の皆さまからご負担いただいている受信料を、
少しでも有効に活用するため資金の運用を行っています」
「報道にあたっては、視聴者に必要な情報を正確にお伝えしています」とコメントした。
偏った報道が東電債の保有と関係ないとすれば、
ハナからNHKには真実を見抜く力がないということになる。
(日刊ゲンダイ2011年8月18日掲載)

2011年8月22日月曜日

東電の津波高さ15mは想定外の嘘っ八

東電、福島第一で遡上高15mの津波予測
 
東京電力が東日本大震災の前に、
福島第一原子力発電所に従来の想定を上回る
10メートル以上の津波が到来する可能性があると
2008年に試算していたことが政府の事故調査・検証委員会で明らかになった問題で、
東電は同じ試算で高さ15メートルを超える
津波の遡上(そじょう)を予測していたことが24日わかった。


大震災で同原発は、14~15メートルの津波に襲われたが、
「想定外の津波」としてきた東電の主張は、
15メートル超の遡上高の試算が明らかになったことで崩れた。
東電は試算結果を津波対策強化に生かさず、
大震災4日前の今年3月7日に経済産業省原子力安全・保安院に対し報告していた。
東電によると、国の地震調査研究推進本部が02年7月に
新たな地震の発生確率などを公表したのを受け、
東電は、08年にマグニチュード(M)8・3の明治三陸地震(1896年)規模の地震が、
福島県沖で起きたと仮定して、
福島第一と第二の両原発に到達する津波の高さを試算した。
第一原発の取水口付近で高さ8・4~10・2メートルの津波が襲来。
津波は陸上をかけ上がり、
1~4号機で津波の遡上した高さは海面から15・7メートル、
同5・6号機で高さ13・7メートルに達すると試算した。
                                                                    (2011年8月25日10時31分 読売新聞)

2011年8月19日金曜日

海外商品概況NY金、6日続伸 12月物は1891.9ドルで終了 時間外で1900ドル台に

22日のニューヨーク金先物相場は大幅に6日続伸した。
ニューヨーク商品取引所(COMEX)で取引の中心である12月物は
前週末比39.7ドル高の1トロイオンス1891.9ドルで終えた。
欧州債務問題の先行き不透明感と米景気の減速懸念を背景に
実物資産の裏付けのある金先物を買う動きが続いた。
12月物は通常取引終了後の時間外取引で、
一時1900ドルの大台に乗せ、中心限月としての過去最高値を3日連続で更新した。

ドルをはじめ外国為替相場の不透明感から、
代替通貨とみなされる金の需要が強まった面もあった。
ドルは一段の緩和策への思惑から先安観が広がっている。
円やスイスフランは政府の為替介入観測が根強い。

ただ、最近の相場急騰を警戒する声もある。
12月物は終値ベースで月初から約16%上昇しており、
「いつ大幅な相場調整が入ってもおかしくない」
(ロジック・アドバイザーズのビル・オニール氏)との指摘があった。

銀は7日続伸。プラチナは11日続伸した。

2011年8月18日木曜日

NY金が続伸、12月物1822.0ドルで終了 2011/8/19 5:20

18日のニューヨーク金先物相場は4日続伸した。
   ニューヨーク商品取引所(COMEX)で取引の中心である12月物は
前日比28.2ドル高の1トロイオンス1822.0ドルで終えた。
 米景気の減速懸念と米株式相場の下落を背景に、投資家がリスク回避姿勢を強化。
資金の逃避先となりやすい金への買いが加速した。
12月物は通常取引終了後の時間外取引で一時1832.0ドルまで上昇し、最高値を更新した。


 朝方発表の雇用と製造業の景況感、住宅関連の米経済指標が軒並み悪化した。
米株式市場ではダウ工業株30種平均の下げ幅が一時500ドルを超え、終日軟調に推移。
景気の先行きと変動の激しい株式相場への警戒感が広がり、
実物資産の裏付けのある金先物に買いが膨らんだ。

 7月の米消費者物価指数が前月比で上昇し、市場予想も上回った。
インフレに強い資産とされる金の買い材料になった面もある。

 銀は5日続伸。プラチナは9日続伸した。



2011年8月16日火曜日

財産は絶対に金だ と 官僚・世界の財政トップ

通貨に不信任投票か 金買いに走る官僚OB  2011/8/16

   金の世界にいると「できれば見たくはなかった」ことを見てしまうことが多い。
金を買う人たちの欲望があらわになる場面に居合わせるからであろう。


 筆者は団塊の世代である。
金高値更新の折り、知り合いから退職金で金を買いたいのだが、という相談をしばしば受ける。

 その相談者で最も熱心な人たちが、元霞が関、元永田町の人種である。

 日本国債の“やばさ”を身を持って感じてきたひとたち。
「日本の公的債務は900兆円を超す。自分はその帳簿を見てきた。 まともに返せる金額ではない。
結局、累積財政赤字を積み上げた国は通貨増発に走る。これは歴史が示してきたことだ」と淡々と語る。

 「だから自分は、いくら円高といわれようが円は持ちたくない。
君は(筆者のこと)ドルは刷れるが金は刷れないと書いた。円も刷れるが金は刷れない。
私は金を選択する」。筆者の背筋がヒンヤリするエピソードだ。
「通貨の番人」をやってきた人たちが、「通貨への不信任投票」ともいえる金買いに走る。

 次元は違うがこういうエピソードもある。

 FRB(米連邦準備理事会)前議長のグリーンスパン氏。現在でも講演に引っ張りだこ。
講演料は10万ドル近くといわれる。あるヘッジファンドのカンファレンスで講演後、
控え室で主催者が尋ねた。「先生、講演料をお振り込みしますが、どの通貨にしましょうか。
米ドル、ユーロ、円?」。そこで彼はポツリ「ゴールド」と答えたという。
米CNBC「クロージングベル」の看板キャスター、マリア・バルティロモが番組内で実話として披露した話だ。

   半分はグリーンスパン氏特有のユーモアであったであろうが、半分は本音かもしれない。
90年代、欧州の中銀が相次いで金大量売却に走ったとき、
上院銀行委員会の聴聞会で「米国は金を売却しないのか」と聞かれて
「Gold is the ultimate currency(金は究極の通貨ゆえ売らない)」と明言した人物である。


 このエピソードには更にヒンヤリする。基軸通貨ドルの「通貨の番人」として18年間、
金融界に君臨し米国経済の裏も表も知り尽くした男が、
あえて米ドルを選択せず、その対極にある金を指名する。

 筆者の知り合いの例との共通項は、権力や情報の中枢に近くいた人間ほど
金に真剣に注目するということだ。
筆者の友人でも商店街のオヤジたちが金に示す興味は軽い。ブームにはしゃぐ感じだ。
額にしわ寄せ相談に来ることはない。

 ソブリンショックで金が史上最高値を更新中だ。
ソブリンリスク回避マネーが金へ流入と説明される。
そのマネーの典型はソブリンの世界に働いた人たちの資産運用であった。

 欧州ではトリシェECB(欧州中央銀行)総裁が今年いよいよ引退する。
おそらく彼も講演に引っ張りだこになろう。果たして彼はユーロを選択するであろうか。






2011年8月13日土曜日

世界景気と株安 各新聞一週間のニュースあらまし

 8月12日の米株式相場は続伸し、ダウ工業株30種平均は前日比125ドル71セント(1.1%)高の1万1269ドル02セントで終えた。朝方発表の7月の米小売売上高が2カ月連続で増加した。株式市場では景気の先行き不透明感がやや薄らぎ、買いが広がった。


.....日本経済新聞 世界経済「新たな、より危険な段階に」 世銀総裁 . 日本経済新聞 市場、大荒れの1週間…日米株下落、金は上昇 NY株12日125ドル高 . 読売新聞 NY円値動き小幅、76円67〜77銭 .

 【シドニー=柳迫勇人】オーストラリアを訪問中の世界銀行のゼーリック総裁は14日、シドニー市内で講演し、最近の世界の金融市場の混乱について、・・・ >>続き 最新ニュース

 【ニューヨーク=川上穣】米国債の初の格下げや欧州の信用不安で大荒れになった米株式市場が1週間の取引を終えた。12日のダウ工業株30種平均は・・・ >>続き 08/13一面

 【ニューヨーク=小谷野太郎】12日のニューヨーク外国為替市場は、午後5時(日本時間13日午前6時)、前日比11銭円高・ドル安の1ドル=76・・・ >>続き

...朝日新聞 NYダウ2日続伸、終値は125ドル高 . 日本経済新聞 米ミネアポリス連銀総裁「追加緩和は不適切」 . 読売新聞 NYダウ続伸、125ドル高の1万1269ドル .

 12日のニューヨーク株式市場は2日連続の上昇となった。大企業で構成するダウ工業株平均は前日比125.71ドル(1.13%)高い1万1269・・・ >>続き

 【ワシントン=岩本昌子】9日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、反対票を投じた3メンバーの一人であるミネアポリス連邦準備銀行のコチャラコ・・・ >>続き 08/13もっと読む

 【ニューヨーク=小谷野太郎】12日のニューヨーク株式市場で、ダウ平均株価(30種)は前日比125・71ドル高の1万1269・02ドルと続伸・・・ >>続き

..日本経済新聞 イタリア、増税など追加財政再建策 信用不安受け . 日本経済新聞 NY株続伸、終値125ドル高 米小売売上高の増加好感 . 日本経済新聞 NY株が続伸、終値125ドル高 米小売売上高を好感 .

 【パリ=古谷茂久】イタリア政府は12日、緊急閣議を開き、追加的な財政再建策を決定した。増税や公務員の削減などを通じ、2012~13年の2年・・・ >>続き 08/13もっと読む

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日本経済新聞 NY株、一時200ドル超上げ 欧州株高や米小売売上高好感 . 日本経済新聞 欧州株、軒並み続伸 仏・伊など空売り禁止で銀行株高く . 朝日新聞 東証下落、終値8963円 円高重荷、輸出関連売られる .

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読売新聞 フランスなど4か国、株式の空売り規制を強化 . 日本経済新聞 財政潜在リスク、日本突出 公債残高GDP比2倍へ . 読売新聞 東京円6営業日ぶり下落、76円64〜66銭 .

 【ロンドン=中沢謙介】欧州証券市場監督機構(ESMA)は11日、世界的な株価急落を受けて、ベルギー、フランス、イタリア、スペインの4か国が・・・ >>続き 08/12もっと読む

 日本の財政再建に黄信号がともっている。内閣府が12日閣議提出した「経済財政の中長期試算」によると、・・・ >>続き

 12日の東京外国為替市場は、前日の欧米の株高や政府・日本銀行による円売り市場介入の再開への警戒感からドルが買い戻され、円相場は一時、1ドル・・・ >>続き

朝日新聞 東京は一時1ドル77円台 やや円安もなお「超円高」 . 読売新聞 日経平均終値、18円安の8963円 . 日本経済新聞 米大統領「2年間は追加歳出カット困難」 .

 12日の東京外国為替市場の円相場は、やや円安が進み、一時1ドル=77円台をつけた。午後1時現在は前日午後5時時点より25銭円安ドル高の1ド・・・ >>続き

 12日の東京株式市場は売り買いが交錯し、日経平均株価(225種)の終値は、前日比18円22銭安の8963円72銭だった。 東証1部の出・・・ >>続き

 【ワシントン=矢沢俊樹】オバマ米大統領は11日、訪問先のミシガン州で演説し、今秋に向けた財政再建の超党派協議について「今年と来年はこれ以上・・・ >>続き 08/12もっと読む

日本経済新聞 NY株終値騰落幅、4日連続400ドル超 急反発、423ドル高 . 日本経済新聞 EU4カ国、金融株空売り一時禁止 . 読売新聞 日経平均、9000円台を回復して取引開始 .

 【ニューヨーク=川上穣】11日のニューヨーク株式市場でダウ工業株30種平均が大幅に反発した。終値は前日比423ドル37セント(3.9%)高・・・ >>続き 08/12一面

 【ロンドン=松崎雄典】フランス、イタリア、スペイン、ベルギーの欧州連合(EU)加盟4カ国は11日、金融株の空売り一時禁止を打ち出した。市場・・・ >>続き 08/12一面

 12日の東京株式市場は、前日の米株高を好感した買いが先行し、日経平均株価(225種)は前日終値に比べ80円超上げ、2日ぶりに9000円台を・・・ >>続き


財政潜在リスク、日本突出 公債残高GDP比2倍へ


内閣府の20年度試算 2011/8/12 22:02

 日本の財政再建に黄信号がともっている。内閣府が12日閣議提出した「経済財政の中長期試算」によると、2020年度の国・地方の借金は国内総生産(GDP)比で200%を超え、世界で最も厳しい財政状況が続く。欧米の債務問題をきっかけに逃避マネーが日本に流入しているが、その足元はもろい。

 「20年度以降の債務残高の縮小は国際公約だ」――。野田佳彦財務相は12日の記者会見で、財政再建への意欲を強調した。政府は20年度の国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)を黒字化する目標を掲げ、国・地方の借金の拡大に歯止めをかける考え。だが、達成には消費税率を今より12%程度引き上げる必要がある。

■ギリシャ以上に厳しく

 内閣府によると、11年度の国・地方の公債残高はGDP比で181%。今後、実質1%強の成長が続き、消費税率を15年度に5%引き上げても、公債残高比率は210%に悪化する。

 日本230%、ギリシャ152%、イタリア120%、米国98%――。世界各国の直近の公債残高比率を比較可能な国際通貨基金(IMF)の試算(4月現在)で比べると、日本の財政事情はギリシャ以上に厳しい。

 それでも、欧米の債務不安をきっかけに逃避先として世界のマネーが日本に向かい、円高が進むのはなぜか。

 市場関係者があげる要因は「消費税の増税余地がある点」「経常収支の黒字」「国債の国内消化比率の高さ」の3つだ。

 確かに、消費税率が20%前後と高い欧州などに増税を期待できない一方で、日本の消費税率は5%と先進国の中で最も低い。経常収支の黒字幅は縮小傾向にあるが、なお黒字を維持している。国債残高の9割以上を国内投資家が保有しているため、資金の流出の懸念が小さいともいわれる。

 だが、そうした“強み”がいつまでも続く保証はない。

■外国人が存在感

 例えば、消費税の増税。政府は社会保障・税の一体改革案で「10年代半ばまでに段階的に消費税を10%に上げる」と明記したが、デフレ脱却のメドが立たない中で、与野党が増税に動けるか不透明。東日本大震災後の復興対策、B型肝炎訴訟の和解金支払いなど、10兆円強の新たな支出も財政再建のハードルを高くしている。

 「日本は17年度に経常収支が赤字に転落する」。日本経済研究センターの岩田一政理事長は警鐘を鳴らす。円高で輸出に逆風が強まる一方、原発事故で火力発電の比重が増したのをきっかけに燃料輸入が増え、貿易収支が悪化するとの分析だ。財政と経常の双子の赤字を抱えれば、米国などのように国債を海外投資家に今まで以上に買ってもらう必要が出てくる。同時に信用も試される。

 国債市場の売買を見ると、外国人の存在感がじわりと増している。残高ベースでは国内投資家が国債の9割以上を保有しているが、債券ディーラーを除く外国人の国債売買高比率は6月に18.7%に上った。外国人の売りが市場の波乱要因になるとの指摘もある。






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2011年8月12日金曜日

金、史上初1800$突破・ 米株、歴史的な乱高下 週間では1.5%安  

米国債の初の格下げや欧州の信用不安で大荒れになった米株式市場が1週間の取引を終えた。
12日のダウ工業株30種平均は続伸したものの、週間では1.5%安と3週連続で下落した。
ダウ平均は11日まで4日連続で終値の騰落幅が400ドルを超え、
115年のダウ平均の歴史で初めての記録を付けた。
世界市場の動揺から日経平均株価も週間で3.6%下落。
リスク回避に動くマネーは、金先物や米国債など相対的に安全な資産に流れ込んだ。


 ダウ平均の12日終値は前日比125ドル71セント(1.1%)高の1万1269ドル02セント。
7月の米小売売上高が2カ月連続で前月を上回り、
米景気の先行きへの過度な悲観がやや和らいだ。

 フランスなど欧州連合(EU)加盟4カ国が金融株の空売り規制を打ち出し、
欧州株が上昇したのも相場を下支えした。
ダウ平均が2営業日連続で上がるのは、7月6~7日以来約1カ月ぶりになる。

 1週間を振り返ると、
「ウォール街の長い歴史の中で最も乱高下した週の一つ」(米銀大手ウェルズ・ファーゴ)となった。
米国債の格下げを受け、ダウ平均は週初に634ドル安と史上6番目の下げ幅を記録。
翌9日になると米連邦準備理事会(FRB)が超低金利政策を
「2013年半ばまで継続する」と表明したのを好感し、429ドル高と一気に切り返した。

 その後もフランス国債の格下げ懸念などの材料が相次ぐ。
上昇と下落を繰り返しながら、相場は乱高下を続けた。
損失が拡大するのを恐れ、個人投資家が持ち株を処分するなど市場は動揺した。

 株式相場の混乱を嫌い、実物の裏付けがある金が資金の逃避先として買われた。
ニューヨーク市場の金先物は10日、史上初めて1トロイオンス1800ドルを突破。
1700ドル台に乗ってわずか2日後という異例の上昇ペースだった。
週末にかけて利益確定の売りが出たが、相場の基調の強さを指摘する声が多い。

 一方、ニューヨークの原油先物は一時急落した。
指標原油は9日、一時1バレル75ドル台と約11カ月ぶりの安値を付けた。
その後、値ごろ感から買いが入り85ドル台まで戻した。
                                   2011/8/13 10:54

2011年8月10日水曜日

金価格が約31年ぶり高値を付けた4482円 1743ドル

NY金、続伸 12月物は1743.0ドルで終了 一時最高値更新  2011/8/10 5:24

     9日のニューヨーク金先物相場は続伸した。
ニューヨーク商品取引所(COMEX)で取引の中心である12月物は
前日比29.8ドル高の1トロイオンス1743.0ドルで終えた。
世界景気の減速懸念や欧米の財政不安が根強く、
相対的に安全な資産とされる金を買う動きが続いた。
12月物は早朝の時間外取引で一時1782.5ドルまで上昇し、
中心限月としての過去最高値を連日で更新した。

 過去最高値をつけた後は、
目先の利益を確定する目的の売りが目立つ場面があった。
米国債の格下げが発表される前の5日終値と比べ、
12月物は2営業日で計5%あまり上昇した。

 通常取引終了後の時間外取引で、
金は再び上昇基調を強める場面があった。
米連邦準備理事会(FRB)が米連邦公開市場委員会(FOMC)で、
実質ゼロ金利政策を
「少なくとも2013年半ばまで続ける可能性が高い」との見解を示した。
今後も市場に出回る潤沢な投資マネーが
金など商品先物相場に流入するとの見方から、金の先高観が強まった。

 銀は反落。プラチナは続伸した。

金価格高騰でも「インド人は買い続ける」ワケ 2011/8/10 9:24


     世界の金消費の3割強を占める世界最大の金需要国インドで、
金価格が歴史的水準に高騰している。
ムンバイに本拠地を置く総合商品取引所(MCX)によると、
金取引の目安とされるインド西部アーメダバードにおける
金のスポット取引価格は8日時点で
2万4915ルピー(約4万2400円、10グラム当たり)と過去最高値を更新。
7月末比では7%高、
過去1年間の平均値との比較では21%高となっている。
ただ、ムンバイの宝飾店ジュグラジ・カンティラルの
店主アニシュ・ジェーン氏は日本経済新聞の取材に対し
「このまま値段が上がっていこうとも、人々は金を買い続ける」とどこ吹く風だ。

NY金、一時1700ドル超え 高値警戒感も             2011/8/9 0:01

 米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)による
米国債の長期格付け引き下げなどに端を発した動揺を受け、
世界の金融市場でも安全資産と認識される金が買われ、
高値圏で推移する。
 ただ、インドでは実需筋と投機筋を隔てる差が小さく、
市民が金を贈答品かつ投機商品として購入するケースも多い。
例えば婚礼時には主に新婦の親が嫁入り道具として金を持たせ、
新郎側の家庭は受け取った金の値上がりを待って転売したり、
借入金の担保にしたりし、嫁の生涯の生活を保証するのが習わしだ。
ヒンズー教の大祭「ディワリ」(今年は10月)、
ヒンズー教などの吉日「アクシャヤ・トリティヤ」(今年は5月)でも
市民が毎年、多くの金を購入するため、
「価格は上がっても、将来にわたって人々は金を必ず買い続ける」
というジェーン氏の確信は揺るがない。

 また年に何度も金を購入する季節を迎えるため、
一般市民でも金価格のトレンドには敏感。
過去の持続的な金価格上昇は、
値上がりが永久に続くとの“金価格神話”を生んでおり、
民間銀行最大手ICICI銀行の営業マン、バサブラジ氏は
「必ず値上がりするから投資しておいて損はない」と
預金者に対し、金の購入を勧めている。

   金の国際価格が8日のニューヨーク先物市場の時間外取引で
1トロイオンス1700ドルを超えるなど高騰している。
国内の大手地金商の小売価格も8日、税込みで1グラム4482円に上昇。
消費税抜きでは4269円と約31年ぶり高値となった。
世界経済の先行き不安が背景にあるが、
上昇ペースが急なだけに高値警戒感を指摘する見方もある。

 ニューヨーク市場ではファンドなど大口投資家の買越残高が
24万7175枚(枚は最低取引単位、8月2日時点)。
前週比約1万2千枚増え、昨年11月以来約9カ月ぶりの高水準まで膨らんでいる。

 ここ1カ月ほどは欧州の債務問題や米国の債務上限引き上げ問題などの
取引材料が相次ぎ浮上し、相場をけん引してきた。
9日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれるが、
その後は大きな材料が見あたらない。
「市場に材料出尽くし感が広がれば、高値を修正する局面に入る可能性がある」
(ワールド・ゴールド・カウンシルの豊島逸夫日本代表)との見方が出ている。

金の国内小売価格、31年ぶり高値 米国債格下げで    2011/8/8 10:49
                                   (2011/8/8 12:30更新)

      金の国内小売価格が8日、約31年ぶりの高値を付けた。
大手地金商の小売価格は前週末比80円高の1グラム4482円(税込み)となった。
消費税抜きでは4269円で、1980年12月以来の高値となった。

 米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が
米国債の格付けを引き下げたのを受け、
安全資産とされる金を買う動きが加速している。
ニューヨークの金先物市場では日本時間8日午前の時間外取引で
一時1トロイオンス1698.9ドル(中心限月の12月物)まで上昇し、
過去最高値を更新した。

 金価格は欧米の債務問題や景気の先行き不安を背景に
急ピッチの上昇を続けている。
株式などのリスク資産を売り、比較的安全とされる金を買う、
いわゆる「質への逃避」の動きに拍車がかかっているためだ。

 9日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれる。
量的緩和第3弾の実施など米金融緩和の長期化が明確になれば
「さらに上昇基調が強まる」
(ワールド・ゴールド・カウンシルの豊島逸夫日本代表)との見方がある。













2011年8月9日火曜日

株価300円超す下げ9000円割れで始まる

日経平均、終値153円安 5カ月ぶり9000円割れ 午後に買い戻し、下げ幅縮小
                                                                                                                  2011/8/9 15:13
   9日の東京株式市場で日経平均株価は3日続落した。
終値は前日比153円08銭(1.68%)安い8944円48銭だった。
9000円の大台を割り込むのは
東日本大震災が発生した直後の3月15日(8605円)以来約5カ月ぶり。
3日間の下げ幅は計714円(7.4%)に達した。
米国債の格付け引き下げを嫌気した世界的な株安を嫌気し、
午前に440円安の8656円まで下げる場面があった。
ただ、午後に入りアジアの株式相場が下げ渋ったことや、
日本時間今晩に米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えているため
買い戻しが入り、下げ幅を縮小した。

 東証1部の売買代金は概算で1兆9763億円(速報ベース)と
3月23日以来の高水準だった。                                    〔日経QUICKニュース〕

   東証一時8700円割れ 世界株安止まらず
    米欧の政府債務(借金)問題に端を発した世界株安が広がっている。
8日のニューヨーク市場が600ドルを超える暴落になったのに続き、
翌9日の東京市場も日経平均株価が一時400円を超える下落となり、
8700円を割り込んだ。円相場も1ドル=76円台近くまで「超円高」が進んだ。

 東京証券取引所第1部に上場する株式の98%が値下がりする全面安になった。
日経平均は一時、前日比440円77銭(4.84%)安い8656円79銭まで下げた。
午前の終値は同403円25銭(4.43%)安い8694円31銭。
午後1時時点の日経平均は同308円72銭安い8788円84銭。

 日経平均が8600円台まで下げたのは
東日本大震災直後の3月17日以来約4カ月半ぶり。
世界株安が始まった今月2~8日の5営業日で867円下げており、
9日の最安値水準で1300円超下げたことになる。
今年最安値は取引時間中が3月15日の8227円63銭、終値が同日の8605円15銭だ。

 東証1部全体の値動きを示すTOPIX(東証株価指数)の午前の終値は
同36.34ポイント低い746.52。

 円高で輸出に悪影響が出る電機や自動車メーカーの株価が下げている。
また、金融不安を警戒して、
みずほフィナンシャルグループ(FG)や三井住友FGが今年最安値になった。
SMBC日興証券の西尾浩一郎氏は「不安が不安を呼び、
投資家が過剰に反応している」とみている。

 他のアジア市場も株安が続いている。

株価指数は韓国で一時9%超、香港で一時7%超下げ、
前日に続いて今年最安値を更新した。

 東京外国為替市場の円相場は一時1ドル=77円00銭台まで円高が進んだ。
午後1時現在は前日午後5時時点より70銭円高ドル安の77円17~20銭。
対ユーロは同2円03銭円高ユーロ安の1ユーロ=109円76~81銭。


日経平均、下げ幅一段と縮小 一時8900円台  FOMC控え買い戻し  2011/8/9 14:13

      9日後場中ごろの東京株式市場で日経平均株価は下げ幅を一段と縮小している。
後場の寄り付きは前日比388円安の8709円で取引を再開したが、
下げ幅は一時184円まで縮め8900円台を回復した。
新規の買い材料は出ていないが、アジアの株式相場が下げ渋り、
一段の連鎖株安に対する警戒感がやや和らいだ。
加えて「日本時間今晩の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、
株価指数先物に買い戻しが入ったことも要因」
(大和証券の高橋和宏投資情報部部長)との指摘もあった。特報 9:11      日経平均 300円超す下げ


 東証株価指数(TOPIX)も下げ幅を縮小している。

 東証1部の売買代金は概算で1兆4353億円、
売買高は概算で25億396万株と膨らんでいる。
値下がり銘柄数は全体の8割強を占める1425、値上がりは186、横ばいは55だった。

 商船三井や国際石開帝石、荏原、丸紅、JX、KDDIが安い。
住友化やトレンド、ニコンも売られている。
半面、日東紡や日本紙、オークマ、日立造、大ガスが高い。〔日経QUICKニュース〕


     日経平均が大幅続落、9000円割れで始まる      2011/8/9 9:09

 9日前場寄り付きの東京株式市場で日経平均株価は大幅続落して始まった。
前日比185円(2.0%)安の8911円で寄り付き直後から9000円を割り込んだ。
取引時間中に9000円の節目を割り込むのは
東日本大震災が発生した直後の3月17日(8639円)以来、約5カ月ぶり。
前日の米株式市場でダウ工業株30種平均は大幅反落し、
2010年10月以来約10カ月ぶりの低水準を付けた。
世界的な連鎖株安を受けて投資家心理が悪化。
東京市場でも主力株が軒並み下げて始まった。


 東証1部では自動車、電機株のほか精密、銀行などが売られ、ほぼ全面安の展開。
売り注文が膨らみ、売り気配で推移する銘柄も多い。
トヨタやみずほFG、キヤノン、コマツなどの下落が目立つ。

 前日の海外市場では英FTSE100が3%、独DAXが5%下落したうえ、
米国ではダウ工業株30種平均が634ドル(5.5%)下げた。
ダウの下げ幅は2008年12月1日以来の大きさ。
7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議は8日、緊急で電話会議を開き、協調姿勢を示した。
オバマ米大統領は同日、S&Pによる格下げに対し
「市場は我々の信用が世界で最も安全であることを再認識している」との声明文を発表した。
しかし、いずれも具体策に乏しいとして株安に歯止めを掛けるには力不足だった。

 実体経済も米国では
4~6月期の実質国内総生産(GDP)の成長率の伸び率が鈍化するなど
減速感が鮮明になりつつある。
新興国では国際商品市況の高騰による物価上昇圧力が景気の重荷で、
世界的にリスク性の高い資産を回避する流れが加速している。〔日経QUICKニュース〕

     主な市場指標日経平均プロフィル(銘柄一覧)
日経平均(円) 8,726.32 -371.24 9日 9:46


NYダウ(ドル) 10,809.85 -634.76 8日 16:30

英FTSE100 5,068.95 -178.04 8日 16:35

ドル/円 77.51 - .56 -0.36円高 9日 9:24

ユーロ/円 109.83 - .88 -1.96円高 9日 9:24

長期金利(%) 1.015 +0.015 8日 16:36

NY原油(ドル) 81.31 -5.57 8日 終値








2011年8月8日月曜日

NY金価格1713$ 過去最高値更新 NY株価6番目の市場安値

NY金急反発、終値1713ドル 過去最高値を更新      2011/8/9 5:49

     8日のニューヨーク金先物相場は3営業日ぶりに急反発した。
ニューヨーク商品取引所(COMEX)で取引の中心である12月物は
前週末比61.4ドル(3.7%)高の1トロイオンス1713.2ドルで終えた。
欧米の債務問題への懸念から逃避資金の受け皿となりやすい金に買いが膨らんだ。


 12月物は通常取引終了後の時間外取引で一時1723.4ドルまで上昇し、
中心限月としての最高値を更新した。
これに先立ち、前日深夜の時間外で初めて1700ドル台に乗せていた。

 米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が5日夜に
米国債の格付けを引き下げた。
欧州中央銀行(ECB)は8日、世界の金融市場の動揺を止めるため、
イタリアとスペインの国債の買い入れに乗り出した。
欧米の債務問題が深刻化するとの懸念や、
同問題が世界景気の先行き不透明感を強めるとの懸念から、金の買いが膨らんだ。

 世界の株式相場が大幅安となり投資家が運用リスクを避けて金を買う動きも出た。
ゴールドマン・サックスが7日付のリポートで
今後1年の金相場の見通しを引き上げたことも買い材料になったとの声があった。
金相場は引けにかけて上げ幅を広げ、この日の高値圏で終えた。

 銀は3営業日ぶりに反発。プラチナは5営業日ぶりに反発した。

NYダウ、史上6番目の下げ幅 世界的景気後退に不安感     


 8日のニューヨーク株式市場は暴落した。
大企業で構成するダウ工業株平均の終値は、
前週末比で634.76ドル(5.55%)安い1万0809.85ドルとなった。
終値としては、昨年10月4日以来、約10カ月ぶりの安値水準となった。

 1日の下げ幅としては、史上6番目。
リーマン・ショック直後で市場が不安定だった2008年12月1日以来の大きさとなった。

NY株大幅反落、634ドル安 10カ月ぶり安値
日経平均(円) 8,724.99 -372.57 9日 9:52


NYダウ(ドル) 10,809.85 -634.76 8日 16:30

英FTSE100 5,068.95 -178.04 8日 16:35

ドル/円 77.50 - .52 -0.37円高 9日 9:30

ユーロ/円 109.77 - .82 -2.02円高 9日 9:30

長期金利(%) 1.015 +0.015 8日 16:36

NY原油(ドル) 81.31 -5.57 8日 終値

NYダウ暴落、634ドル安 2年8カ月ぶりの下落幅


 8日のニューヨーク株式市場は暴落した。
大企業で構成するダウ工業株平均の終値は、
前週末比で634.76ドル(5.55%)安い1万0809.85ドルとなった。
終値としては昨年10月4日以来、約10カ月ぶりの安値水準。
1日の下げ幅としては2008年12月1日以来約2年8カ月ぶりの大きさとなった。





2011年8月7日日曜日

「民主党の首相菅直人に北朝鮮と通じる左翼傾向」 櫻井よしこ氏が警告 

 居座りを続ける菅直人首相。復興への影響を懸念する声が高まる一方で、政治資金問題も浮上した。
ジャーナリスト・櫻井よしこ氏が分析する。    2011年8月10日(水)7時0分配信 NEWSポストセブン


 そもそも菅首相の頭には、国家や国民という意識が欠落しているどころか、
彼のこれまでの言動から、北朝鮮と通じる危険な左翼傾向が浮かび上がってきます。

 7月2日、産経新聞は菅首相の資金管理団体「草志会」が、
北朝鮮拉致事件容疑者の親族が所属する政治団体「市民の党」(酒井剛代表)から派生した
政治団体「政権交代をめざす市民の会」(以下、めざす会)に、
計6250万円もの政治献金を行なっていたことを一面で報じました。

「市民の党」から立候補した親族とは、
今年4月に三鷹市の市議会選挙に立候補して落選した、森大志氏のことです。
彼の父親はよど号ハイジャック犯・田宮高麿、
母親は80年にヨーロッパで石岡亨さんと松木薫さんを北朝鮮に拉致した容疑で
警視庁から国際指名手配されている森順子です。

 もちろん「両親がどんな罪を犯しても子どもには罪はない」のは当然ですが、
森大志氏は成人するまで北朝鮮で暮らし、革命思想教育を受けたといわれます。
日本で政治の世界に入ってなにを目指そうとするのか、疑問を抱かれても仕方がありません。

 同じく「市民の党」所属の横浜市議2人は、
02年に市議会本会議場で国旗を引きずり下ろそうとして守衛らと揉み合いになり、
さらに本会議で議長席と事務局長席を占拠して6時間近くにわたって議事を妨害し続けました。

 このように国旗を敵視し、
日本という国を否定する政党と深い関係にある団体に献金する理由として、
菅氏は「政治的に連携をすることによってプラスになると考えた」と述べました。
日本に対する否定的な想いを抱いているという点で、
菅首相と市民の党やめざす会の価値観はよく似通っているということなのでしょう。

 菅氏は1989年、1980年に原敕晁さんを拉致し、1985年に韓国で逮捕され、
裁判で死刑判決を受けた辛光洙の釈放要望書に署名しました。
この要望書には、江田五月法相と千葉景子元法相らも署名しています。
首相以下、二人の法務大臣が拉致実行犯のために助命嘆願したのが民主党政権です。
異常な政府です。

 菅首相は「よく知らずに署名した」と語りましたが、
民主主義国家である韓国が民主主義の司法の手続きを踏んで死刑を宣告した犯人に関して、
他国の国会議員が「よく知らないで」釈放嘆願をすることなどありえるでしょうか。
もし事実なら、首相も二人の法相もあまりにもいい加減です。 ※週刊ポスト2011年8月19・26日号



2011年8月5日金曜日

東電のデタラメ 殺人会社実態を改めて確認 処刑を考ぇよぅ

震災10日後、二度目の溶融か 福島3号機、専門家指摘

    炉心溶融を起こした東京電力福島第一原発3号機で、
東日本大震災から10日後、
冷えて固まっていた炉心の大部分が「再溶融」したとする説を専門家がまとめ、
来月、日本原子力学会で発表する。
東電は原子炉圧力容器底部の温度が低下した状態(冷温停止)を事故収束の目標としているが、
炉心の大半が溶けて格納容器に落下しているなら収束に向けた工程表に影響する可能性もある。


 3号機は、炉内への注水が始まった3月13日午前9時25分まで約6時間以上空だきになり、
14日午前11時ごろには原子炉建屋で大規模な水素爆発が発生。
炉心が溶融し、圧力容器の底に落ちたと考えられている。

 東電の公表データによると、3号機炉内への1日あたりの注水量はその後、
20日までは300トン以上を保っていた。 燃料は冷えて固まったとみられる。

 ところが、注入できた量は21~23日に約24トン、24日は約69トンに激減した。
圧力容器の圧力が高まり、水が入りにくくなった可能性がある。

 旧日本原子力研究所で米スリーマイル島原発事故などの解析を手がけた
元研究主幹の田辺文也さんによると、
この量は炉内の核燃料の発熱(崩壊熱)を除去するのに必要な水量の11~32%しかない。
1日もあれば全体が再び溶ける高温に達する計算になるという。

 田辺さんは大規模な「再溶融」によって高温になった核燃料から大量の放射性物質が放出され、
大半が圧力容器の底から格納容器まで落ちたと推測する。

 東電は、燃料が十分に冷えたことを示す冷温停止を、
事故収束の第2段階(ステップ2)終了の目標とし、
政府もそれをもとに住民対策などの工程表を策定している。

 田辺さんは「公表データによると再溶融は明らか。
冷温停止を判断する場合、溶融物がどこにあるかによって、温度を測るべき場所が変わる。
原子炉の中で何が起きたかきちんと分析すべきだ」と指摘する。(安田朋起)


東電、爆発予兆示すデータ報告せず 福島第一3号機  2011年6月25日15時1分

  東京電力福島第一原子力発電所3号機の水素爆発について、
東京電力が爆発の予兆データを前日につかんでいながら
経済産業省原子力安全・保安院や自治体に法令に基づく通報をしていなかった。
保安院が24日夜にウェブサイトで公表した原子力災害対策特別措置法第10条による
東電からの通報資料でわかった。
危機対応時に政府と重要な情報の共有、連携ができていなかった疑いがある。


 資料は保安院にファクスで送られた約1万1千枚。それによると、
3号機は3月14日午前11時ごろに水素爆発を起こし原子炉建屋の上部が吹き飛んだ。
しかし、その予兆を示すデータなどの報告はなかった。

 すでに東電が公表している資料では、
13日午後1時17分に、3号機の原子炉建屋で毎時300ミリシーベルトの放射線を観測、
午後2時7分に建屋内に水素がたまっている可能性が高いとの記述がある。
14日午前5時20分には、本店から3号機の水素濃度を算出するよう指示していた。

 地震や津波で冷却機能を失った原子炉内で、燃料が露出し、
水素が発生していたことを示す内容だが、今回、通報していなかったことがはっきりした。

 保安院の西山英彦審議官も5月の記者会見で
「3号機の爆発前に保安院が事態を把握していれば公表しているはず。
事故の中身を調査する中で調べていくべきだ」とし、東電の姿勢を検証する姿勢を示している。

 また、国会で中断が論議になった1号機の原子炉圧力容器への海水注入について、
3月12日午後8時20分に注入を開始したと、
事実に反する内容を保安院に報告していたことを示すファクスも今回、公開された。
 実際は12日午後7時4分から注水を始めてそのまま続けていたが、
「20時20分に消火系ラインを使用して海水による原子炉への注入を開始した」と記されていた。
                                                                                                                           (杉本崇、佐々木英輔)

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     保安院発表資料、記載漏れなど133件 福島第一事故

 経済産業省原子力安全・保安院は1日、福島第一原発の事故状況や復旧作業をまとめた発表資料で、
記載漏れや誤記など計133カ所が見つかったと発表した。


 東電からの通報や作業の内容などを記した「地震被害情報」。
事故発生の3月11日から保安院が随時、更新してきた。
国際原子力機関(IAEA)への報告書の作成のために東電からのファクスの点検などをするうち、判明したという。

 大半は東電や首相官邸などが公表しているデータだ。
ただし、3月11日夜に東電から2号機の原子炉の燃料損傷や、
原子炉圧力容器が壊れ始める推定時刻などの重要な情報について報告を受けていたのに、
保安院としては発表していなかった。(西川迅)

2011年8月4日木曜日

NY株急落、終値512ドル安 2年8カ月ぶり下げ幅

NY株急落、終値512ドル安 2年8カ月ぶり下げ幅   原油や金も急落、債券は上昇   2011/8/5 11:20

   4日のダウ平均の終値は前日比512ドル76セント(4.3%)安の1万1383ドル68セントと
2010年12月以来約8カ月ぶりの安値を付けた。
下げ幅はリーマン・ショック後の金融危機のさなかにあった08年12月以来2年8カ月ぶりの大きさとなった。
米欧を中心とした世界景気の減速懸念から、運用リスクを避けようとする投資家の換金売りが殺到。
非鉄大手アルコアが9%、金融大手バンク・オブ・アメリカが7%下げるなど、業種を問わず全面安になった。


 同日の記者会見で欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁がユーロ圏の景気下振れリスクが高まっていると指摘。
欧州発の財政・景気への不透明感が世界的株安の起点になった。
ドイツやスペインの株価指数は3~4%超下落。イタリアなど一部の欧州諸国では国債利回りが再び上昇した。

 米国でも先週発表された4~6月期実質国内総生産(GDP)が年率換算で前期比1.3%増にとどまるなど
景気指標が振るわず、「米国が不況に陥るリスクを市場は織り込み始めている」(米運用会社ニューバーガー・バーマン)。
こうした弱気心理が支配する中で、欧州問題が追い打ちをかけ、幅広い銘柄にリスク回避の売りが出た。

 下げが大きくなったのがニューヨーク原油先物だ。
期近9月物の終値は前日比5.30ドル(5.8%)安の1バレル86.63ドル。
世界景気の不透明感を背景に、原油需要の先細りを見込む売り注文が膨らんだ。
株急落で同じくリスク資産と位置付けられる原油が連鎖的に売られた面もある。

 実物資産の裏付けがあり、逃避資金が向かいやすい金先物も反落。
取引の中心である12月物の終値は前日比7.3ドル安の1トロイオンス1659.0ドル。
株価急落で膨らんだ損失をカバーするために、
「一部の投資家が金先物に換金売りを余儀なくされた」との見方がある。
 この日、唯一上昇したのが債券相場。
米長期金利の指標となる米10年物国債利回りは前日比0.22%低い(価格は高い)2.40%と、
約10カ月ぶりの水準まで低下。行き場を失ったマネーが、相対的に安全資産とされる米国債に流れ込んだ。

2011年8月3日水曜日

NY金先物、史上最高値を連日で更新

 ニューヨーク金先物相場は3日、一段と上昇し史上最高値を連日で更新した。
中心限月の12月物は一時、前日終値比31.4ドル高い1トロイオンス1675.9ドルを付けた。
欧米の債務問題への懸念が根強く、
資金を安全資産とされる金へ逃避させる動きが加速している。
米国では今週末に雇用統計の発表、来週には米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、
景気減速が鮮明になるとの思惑もあり金相場を押し上げている。         2011/8/3 21:11

2011年7月31日日曜日

2011年7月31日 ドル円の為替レート

現在値 76.89-76.91 (5時:49分)  -0.78 (円高) (単位:円)


始値   77.69 (6:55)      前日終値 77.67

高値(円安) 77.86 (9:09)   年初来高値 85.52 (11年4月06日)

安値(円高) 76.84 (5:44)   年初来安値 76.24 (11年3月16日)

2011年7月30日土曜日

円高76円台 金高1631ドル台 世界の市場揺らす米債務問題

米債務問題、世界の市場揺らす 円76円台、最高値に迫る      2011/7/30 14:00
 
  今週の金融市場は米債務上限の引き上げを巡り大荒れとなった。
米国の債務不履行(デフォルト)や米景気の減速を懸念したマネーのリスク回避が鮮明になり、
ダウ工業株30種平均は週間で今年最大の下げを記録。
円は対ドルで1ドル=76円台に突入し最高値に迫った。
債務不履行への不安が重荷だった米国債は、景気懸念が追い風となって相場が急上昇。
10年債利回りは約8カ月ぶりの水準に低下した。
来週も米債務問題をにらみながら市場は不安定な動きが続くとの見方が多い。


 29日のニューヨーク株式市場ではダウ平均が6日続落。
前日比96ドル87セント安の1万2143ドル24セントで引け6月27日以来約1カ月ぶりの安値を付けた。
週間の下げ幅は今年最大の537ドル(4.2%)に達した。

 市場心理を冷やしたのが米債務問題。
債務上限引き上げの期限とされる8月2日を目前に財政赤字削減をめぐる与野党の溝が埋まらず、
米国債の格下げや債務不履行の懸念が強まっている。

 これに追い打ちをかけたのが米景気の先行きへの不安だ。
29日発表の4~6月期の米実質国内総生産(GDP)は前期比年率1.3%増にとどまった。
同日は消費者心理を示す指標も弱い内容で、年後半の景気回復期待に水を差した。
米景気不安は欧州株にも重荷となっており、ドイツ株式指数(DAX)は3日続落している。

 外国為替市場では、リスクを嫌ったマネーが円に流れ込み円相場が続伸。
29日午後のニューヨーク市場では一時、1ドル=76円72銭まで円高が進み、
東日本大震災直後の今年3月、16年ぶりに付けた戦後最高値(1ドル=76円25銭)に迫った。

 円相場は日本時間の午前6時直前に上げ幅を急激に広げ、
わずか10分弱の間に20銭程度上昇した。

 市場関係者の間では「外国為替証拠金(FX)取引でドルを買っていた個人投資家を狙い、
取引が薄い時間に投機筋がドル売りを仕掛けた」(マネーパートナーズ)との見方が出ている。

 円は週間では約2円近くの上昇。
当局による円売り・ドル買い介入への警戒も強いというが、
債務問題の行方次第では「来週に最高値を試す」(邦銀ディーラー)との見方も出ている。

 金先物相場も逃避資金の受け皿として買いを集めた。
29日は3日ぶりに反発、
取引の中心である12月物は前日比15ドル高の1トロイオンス1631ドルで取引を終えた。
一時は1637ドルと中心限月として過去最高値を付けた。

 米債券相場は底堅く推移している。
指標となる10年物国債の利回りは29日に2.8%で終わり、
前日より0.14%低下(債券価格は上昇)。一時は約8カ月ぶりの水準まで下げた。

 債務不履行の懸念が高まれば通常は債券が売られ金利は上昇する。
だが、最近の経済指標悪化で
「足もとでは景気の先行き懸念のほうが強く意識されている」(調査会社MFR)ため、
運用リスクが相対的に小さい投資対象として債券が買われている。
米政権と議会が債務不履行を最終的には回避するとの見方が依然として根強いことも、
債券相場を支えているという。
 ただ債務上限の引き上げ問題が一段とこじれるようだと市場の不安が高まり、
混乱が広がると警戒する関係者も多い。
29日にはオバマ米大統領がホワイトハウスで演説し、
議会に対し債務引き上げ問題で早期に妥結するよう呼びかけたが与野党の溝はなお深い。

 期限の8月2日を過ぎても米財務省は国債への利払いを優先する資金繰り策を練っている。
だが格付け会社は早期に有効な債務削減策で合意できなければ
国債の格付けを引き下げるとしており、予断を許さない情勢だ。

NY円、続伸 1ドル=76円70~80銭で終了 米GDP低調で    2011/7/30 6:47
     29日のニューヨーク外国為替市場で円相場は続伸し、
前日比90銭円高・ドル安の1ドル=76円70~80銭とこの日の高値圏で取引を終えた。
一時76円72銭と、最高値を付けた3月17日以来、約4カ月半ぶりの水準を付けた。
米連邦債務の上限引き上げを巡る与野党の交渉に進展が見られなかったうえ、
4~6月期の米実質国内総生産(GDP)など低調な経済指標の発表が相次ぎ、
円買い・ドル売りが優勢となった。


 朝方発表のGDPの伸び率は市場予想を下回り、1~3月期が大幅に下方修正された。
7月のシカゴ購買部協会景気指数と同米消費者態度指数(確報値、ミシガン大学調べ)も
市場予想に届かず、米景気減速への懸念が広がった。
投資家が運用リスクを回避する姿勢を強めドルを売って円やスイスフランを買う動きが加速した。

 円の安値は朝方に付けた77円59銭だった。

 円は対ユーロで3日続伸し、
前日比90銭円高・ユーロ安の1ユーロ=110円40~50銭で取引を終えた。
対ドルでの円買いが波及した。
スペインやイタリアの国債利回りが上昇するなど欧州の財務問題への警戒感も根強く、
円買いが広がりやすかった。

 ユーロは対ドルで3日ぶりに反発。
前日終値の1ユーロ=1.43ドル台前半から1.44ドルちょうど前後に上昇した。
低調な米経済指標を受け、米国の緩和的な金融政策が長期化するとの観測が強まり、
ユーロ買い・ドル売りが優勢となった。
債務上限問題を巡る調整の難航も、引き続きドル売り材料だった。
この日の高値は1.4414ドル、安値は1.4243ドルだった。

 スイスフランは対ドルで上昇し、
前日の1ドル=0.80スイスフラン台前半から、0.78スイスフラン後半に水準を切り上げた。
一時0.7853スイスフラン近辺まで上昇し、最高値を更新した。

NY金、反発 12月物は1631.2ドルで終了 米景気懸念で最高値    2011/7/30 5:17

     29日のニューヨーク金先物相場は3日ぶりに反発した。
ニューヨーク商品取引所(COMEX)で、
取引の中心である12月物は前日比15.0ドル高の1トロイオンス1631.2ドルで終えた。
一時1637.5ドルと、中心限月としての過去最高値を更新した。
米景気減速への懸念から、実物資産の裏付けのある金先物に買いが入った。
米連邦債務の上限引き上げを巡る協議の難航も、引き続き買い材料だった。


 朝方発表の4~6月期の米実質国内総生産(GDP)の伸び率が市場予想を下回った。
1~3月期が大幅に下方修正されたこともあり、
今年上半期の米景気の減速傾向が鮮明となった。
投資家がリスク回避姿勢を強め、逃避資金の受け皿として金が買いを集めた。

 外国為替市場でドルが主要通貨に対して下落し、
ドルの代替投資先とされる金に買いを誘った面もあった。

 銀も3日ぶりに反発。プラチナは続落した。

2011年7月29日金曜日

日経平均終値9833円、1カ月ぶり安値 米債務問題で

 29日の東京株式市場で日経平均株価は3日続落した。
終値は前日比68円32銭(0.69%)安い9833円03銭だった。


   日経平均(円) 9,833.03     -68.32 7/29 *大引


               日経平均プロフィル(銘柄一覧)
NYダウ(ドル)    12,240.11   -62.44    7/28  16:30

FTSE100             5,843.17    -30.04    7/29    8:40

ドル(円)              77.56-58    -0.11円高       16.45

ユーロ(円)        110.87-91    -0.78円高       16:35

長期金利(%)       1.075       +0.005  7/29   15:34

NY原油(ドル)      97.44       +0.04     7/28

6月30日以来1カ月ぶりの安値。
米連邦債務問題を巡り、下院でベイナー議長案の採決を見送ると伝わると
問題解決の行方に悲観的な見方が台頭。
米株式相場の先安懸念が強まり、午後に入り下げ幅を広げた。
米格付け会社がスペイン国債を格下げ方向で見直すと発表し、
外国為替市場で円が対ユーロで上昇。
採算悪化懸念で輸出関連株の一部が売られたことも相場全体の重荷になった。
東証1部では全体の7割の銘柄が値下がりした。


 午前は好決算企業への押し目買いもあり
日経平均は前日終値近辺で一進一退だった。
しかし、後場に入ると、外部環境の不透明感を嫌気した売りが広がった。
週末とあって持ち高整理の売りも目立った。
「増税論議や菅直人首相の退陣時期を巡る政治の混迷で買いを入れにくい状況」
(岡三オンライン証券の伊藤嘉洋チーフストラテジストとの声もあった。

 東証株価指数(TOPIX)も3日続落。

 東証1部の売買代金は概算で1兆2650億円と、
6月30日以来約1カ月ぶりの高水準だった。
売買高は同19億4772万株で6月15日以来の高水準。
東証1部の下落銘柄数は1266、上昇銘柄数は304、変わらずは97だった。

 トヨタ、ソニー、東芝、日立、コマツなど主力株は軒並み下げた。
東電のほか電力株は軒並み安。
半面、ファストリ、ルネサス、三井不、ヤマハ発、KDDI、JTが上昇した。

 東証2部株価指数は5日続落。〔日経QUICKニュース〕

2011年7月28日木曜日

原発への攻撃、極秘に被害予測 1984年に外務省

 外務省が1984年、日本国内の原発が攻撃を受けた場合の被害予測を極秘に研究していたことがわかった。
原子炉や格納容器が破壊された場合に加え、東京電力福島第一原発の事故と同じ全電源喪失も想定。
大量の放射性物質が流出して最大1万8千人が急性死亡するという報告書を作成したが、
反原発運動の拡大を恐れて公表しなかった。


 欧米諸国は原発テロを想定した研究や訓練を実施しているが、
日本政府による原発攻撃シナリオの研究が判明したは初めて。
 81年にイスラエルがイラクの研究用原子炉施設を爆撃した事件を受け、
外務省が財団法人日本国際問題研究所(当時の理事長・中川融元国連大使)に
想定される原発への攻撃や被害予測の研究を委託。
84年2月にまとめたB5判63ページの報告書を朝日新聞が入手した。          



関連記事18年前に電源喪失対策検討 「重大性低い」安全委結論(7/13)

日本の災害対応を米懸念「官僚縦割り」 流出の米公電(5/4)

〈世界から被災地へ〉「日本の技術を信頼」 ロシア・ソフト大手首脳(4/29)

原発の全電源喪失、米は30年前に想定 安全規制に活用(3/31)

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2011年7月26日火曜日

円高77円台に

円相場 1ドル=77円台に   7月26日 12時54分
26日の東京外国為替市場は、アメリカの連邦債務の上限の引き上げを巡って
政府と議会の協議が長引くという懸念が強まってドルを売る動きが加速し、
円相場は1ドル=77円台まで値上がりして、東日本大震災直後のことし3月17日以来、
およそ4か月ぶりの円高水準となりました。

26日の東京市場は、アメリカの連邦債務の上限の引き上げについて
オバマ大統領が25日夜、野党・共和党などに協力を求める演説を行いましたが、
市場では政府と議会が合意するには時間がかかるという受け止めが広がり、
ドルを売る動きが加速しました。
このため、円相場は1ドル=77円台まで値上がりし、
東日本大震災直後のことし3月17日以来、およそ4か月ぶりの円高水準となりました。
円は、ことし3月の東日本大震災の直後、1ドル=76円25銭まで急騰し
15年11か月ぶりに最高値を更新しましたが、
政府・日銀が先進各国と協調して市場介入に踏み切ったことなどから、
いったん85円台まで値下がりしました。
しかし、その後ヨーロッパの財政問題や
アメリカの連邦債務の上限の引き上げを巡る問題への警戒感から、
円高が進む展開になっています。

2011年7月22日金曜日

国家国民の危機状態でも官僚共の隠蔽ご都合主義を経産省に見た

「電力情報すべて開示を」 首相、経産省に異例の指示        2011/7/23 2:00
       菅直人首相が電力需給に関する重要な情報をすべて開示するよう
経済産業省に文書で求めていたことが22日に分かった。
首相の指示を受けて国家戦略室が作成し、経産省の公表資料に反論した部分もある。
個別省庁へ首相が文書で指示を出すのは異例だ。

 文書は経産省の公表データについて
 (1)需給調整契約と(夜間電力を使って昼間に発電する)揚水発電を組み合わせれば
     ピーク需要への対応はより円滑に行える
 (2)経産省の供給予測では太陽光発電の計上がない
 (3)自家発電の実態が明らかにされていない――などと指摘している。

 14項目にわたる「質問状」も作成。
最大電力需要予測で電力会社の見通しではなく猛暑だった昨夏のピークを使った理由、
水力発電の設備容量や出力計画を電力会社ごとに細かく明らかにすることなどを求めた。

 指示は福島第1原子力発電所の事故から続く同省への不信感をうかがわせる。
首相が掲げた「脱原発依存」の方針は再生可能エネルギーなどの活用が不可欠となり、
 首相周辺には
   「経産省は自分に都合のいいデータしか公表していない」との不信感がくすぶっている。

2011年7月16日土曜日

原子力委の設置、裏に偽装報告 55年 初の海外調査団

 政府が1955年、原発を導入するために初めて派遣した海外調査団の報告書が、
原子力委員会の設置を推進する内容に偽装されていたことがわかった。
作成に関与した旧通商産業省の初代原子力課長(故人)の偽装を認める証言が、
文部科学省の内部文書に記録されていた。


 文書は85~94年、日本の原子力行政の重鎮で、原子力局長や原子力委員を務めた
故・島村武久氏が、
原子力政策にかかわった政治家や官僚、学者など33人を講師として招いた「島村研究会」の録音記録。
A4判620ページにわたって文書化され、文科省が製本したものを朝日新聞が入手した。

 政府は54年12月、初めての原子力予算で、物理学者を団長とする
15人の「原子力平和的利用海外調査団」を派遣。
4班に分かれて米英仏やインド、スウェーデン、デンマークなど14カ国を巡り、
原子力行政の組織体制を調べた。

 調査団は帰国後、原子力を推進・開発する政府の機関について
「各国の統括機関はほとんどすべて委員会の形をとり多頭。
各方面の意見を十分に入れるためと思われる」と報告書に明記して、
集団指導体制による委員会の設置を日本でも急ぐよう提言した。

 事務局として作成にかかわった旧通産省工業技術院原子力課の初代課長の故・堀純郎氏は
88年、「島村研究会」に招かれ、
「(トップに)委員会をつくっているのは米国だけで、ほかにはどこもない」と指摘。
フランスは「役所」、イギリスは「公社」だったにもかかわらず、「(諸外国は)どこでも委員会だ。
だから日本でも委員会を作らなくちゃいかんと強調した」と偽装を証言した。

 さらに「若い事務官がこんなうそ書けるかと憤慨した」とも証言し、
のちに資源エネルギー庁次長となる豊永恵哉氏が偽装に抵抗したことを明らかにした。

 豊永氏は朝日新聞の取材に「委員会は米国にしかなく、責任があいまいになり、
日本になじまないと思った。
むしろしっかりした行政組織を作るべきだと上司に進言した」と話す。
 政府は報告書をもとに原子力委員会を56年に発足させ、
初代委員長に正力松太郎国務相、委員にノーベル物理学賞の湯川秀樹氏、
経団連会長の石川一郎氏らを起用。
著名人を集めた委員会を設け、
米国の水爆実験で「第五福竜丸」が被曝(ひばく)した事件による
原子力への世論の逆風を弱める狙いがあったとみられる。
政府が公表した報告書の偽装は、原発導入期からの隠蔽(いんぺい)体質を示すものだ。

2011年7月13日水曜日

国民年金の納付率59.3% 10年度、5年連続減

若年層の雇用・賃金情勢映す      2011/7/13 15:17

 厚生労働省は13日、2010年度の国民年金保険料の納付率が59.3%になったと発表した。前年度に比べ0.7ポイント低下し、過去最低を更新した。前年度を下回るのは5年連続。若年層を中心に雇用や賃金情勢が厳しく、年金不信も高まっているのが背景だ。厚労省は「納付率の高い高年齢者の割合が低下したことや、市場化テストでの対策が十分な効果を上げられなかったのも要因」といい、今後納付率向上に向けた対策を強化するという。

2011年7月12日火曜日

米国は30年前に原発電源喪失を想定、日本は18年前に電源喪失対策検討せず 重大性低ぃとバカ結論 

日本は18年前に電源喪失対策検討 「重大性低い」安全委結論


 東京電力福島第一原子力発電所が東日本大震災時に全ての電源を失い炉心溶融を起こした問題で、
国の原子力安全委員会の作業部会が1993年に、
全電源喪失対策を検討しながらも「重大な事態に至る可能性は低い」と結論づけていたことがわかった。
安全委は13日、当時の報告書をウェブで初めて公開した。今後詳しい経緯を調べるという。


 報告書は安全委の「全交流電源喪失事象検討ワーキング・グループ」が作った。
専門家5人のほか東電や関西電力の社員も参加。安全委の作業部会はどれも当時は非公開で、
今回は情報公開請求されたため、公表した。

 米国で発生した全電源喪失の例や規制内容を調査した。
その結果、国内では例がなく、米国と比較して外部電源の復旧が30分と短いことや、
非常用ディーゼル発電機の起動が失敗する確率が低いなどとした。
「全交流電源喪失の発生確率は小さい」
「短時間で外部電源等の復旧が期待できるので原子炉が重大な事態に至る可能性は低い」と結論づけていた。
ただし明確な根拠は示されていない。

   国内原発の大半、安全対策に難点 長期電源喪失想定など
東京電力福島第一原発の事故をめぐり、
朝日新聞が全国の10電力会社などに安全対策に関する調査を実施したところ、
大半が事故前、長期間の電源喪失など第一原発レベルの事故に対応する態勢をとっていなかったことが分かった。
第一原発で被害を拡大させた疑いがある安全設計上の問題を同様に抱える原発が多数あったことも判明。
各電力では、津波対策などに乗り出している。


 調査対象は、国内の17商業用原発で54基の原子炉を運転する計10電力と、
高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)を運転する日本原子力研究開発機構。
福島第一原発事故前の
(1)炉心溶融などの過酷事故の想定や訓練
(2)全電源喪失時のバックアップ態勢
(3)非常用ディーゼル発電機や海水ポンプの設置状態――について調べた。
 (1)では、10電力のうち東京、東北、中部各電力など7社と同機構が事故の際、
非常用バッテリーが動く5~8時間で外部電源などが復旧すると想定。
第一原発事故で起きたような数日間にわたる長期全電源喪失への対策や訓練はなかった。
 (2)では、福島第一原発事故の前は、関西電力を除く9社と同機構は、
原発内や付近に、外部電源などの喪失に備えた電源車を配備していなかった。
また、(3)では、福島第一原発で、非常用ディーゼル発電機が
水密性の高い原子炉建屋内に設置されていなかったことや、
海水ポンプが建屋内に収容されていなかったことが、
津波を受けた後の電源喪失事故に至った主要な原因ではないかと東電内で指摘されている。

これらの点について、四国電力伊方原発(愛媛県)や九州電力川内原発(鹿児島県)など
12カ所の計31基で、ディーゼル発電機が原子炉建屋ではなく、タービン建屋内などに設置されていた。
海水ポンプも、関西電力美浜原発(福井県)や九州電力玄海原発(佐賀県)など11カ所の計34基で、
屋外にほぼむき出しの状態で置かれていた。

 各電力は事故後、(1)については長期間の電源喪失を想定した緊急訓練を実施。
(2)の電源車も急きょ配備を進めている。
(3)については、「想定した津波より高い位置にあり、安全性に問題はない」(関西電力)との見方もあるが、
非常用ディーゼル発電機が置かれた建屋の扉を水密性の高いものに取りかえたり、
海水ポンプの周囲に防護壁を設置するなどの対策が進められている。

   原発の全電源喪失、米は30年前に想定 安全規制に活用

 東京電力福島第一原子力発電所と同型の原子炉について、
米研究機関が1981~82年、全ての電源が失われた場合のシミュレーションを実施、
報告書を米原子力規制委員会(NRC)に提出していたことがわかった。
計算で得られた燃料の露出、水素の発生、燃料の溶融などのシナリオは今回の事故の経過とよく似ている。
NRCはこれを安全規制に活用したが、日本は送電線などが早期に復旧するなどとして想定しなかった。


 このシミュレーションは、ブラウンズフェリー原発1号機をモデルに、米オークリッジ国立研究所が実施した。
出力約110万キロワットで、
福島第一原発1~5号機と同じ米ゼネラル・エレクトリック(GE)の沸騰水型「マークI」炉だ。

 今回の福島第一原発と同様、「外部からの交流電源と非常用ディーゼル発電機が喪失し、
非常用バッテリーが作動する」ことを前提とし、バッテリーの持ち時間、
緊急時の冷却系統の稼働状況などいくつかの場合に分けて計算した。
 バッテリーが4時間使用可能な場合は、停電開始後5時間で「燃料が露出」、
5時間半後に「燃料は485度に達し、水素も発生」、6時間後に「燃料の溶融(メルトダウン)開始」、
7時間後に「圧力容器下部が損傷」、8時間半後に「格納容器損傷」という結果が出た。
 6時間使用可能とした同研究所の別の計算では、
8時間後に「燃料が露出」、10時間後に「メルトダウン開始」、13時間半後に「格納容器損傷」だった。

 一方、福島第一では、地震発生時に外部電源からの電力供給が失われ、
非常用のディーゼル発電機に切り替わったが、
津波により約1時間後に発電機が止まり、電源は非常用の直流バッテリーだけに。
この時点からシミュレーションの条件とほぼ同じ状態になった。
 バッテリーは8時間使用可能で、シミュレーションと違いはあるが、起きた事象の順序はほぼ同じ。
また、計算を当てはめれば、福島第一原発の格納容器はすでに健全性を失っている可能性がある。
 GEの関連会社で沸騰水型の維持管理に長年携わってきた原子力コンサルタントの佐藤暁さんは
「このシミュレーションは現時点でも十分に有効だ。
ただ電力会社でこうした過去の知見が受け継がれているかどうかはわからない」と話す。

 一方、日本では全電源が失われる想定自体、軽視されてきた。

 原子力安全委員会は90年、原発の安全設計審査指針を決定した際、
「長期間にわたる全交流動力電源喪失は、送電線の復旧又(また)は非常用交流電源設備の修復が
期待できるので考慮する必要はない」とする考え方を示した。
だが現実には、送電線も非常用のディーゼル発電機も地震や津波で使えなくなった。
 原子力安全研究協会の松浦祥次郎理事長(元原子力安全委員長)は
「何もかもがダメになるといった状況は考えなくてもいいという暗黙の了解があった。
隕石(いんせき)の直撃など、何でもかんでも対応できるかと言ったら、それは無理だ」と話す。

2011年7月10日日曜日

国保納付率が最低に 09年度88.01%、景気低迷で 厚労省調べ 2011/2/4 21:00

 年金生活者や自営業者などが加入する国民健康保険(国保)の保険料の納付率が、2009年度は88.01%(速報)と過去最低になったことが厚生労働省の調べでわかった。所得減などで支払いが滞る人が増えたとみられる。ただ、自治体間の差も大きく、改善の余地はなお残っているとの指摘もある。


 納付率は、初めて90%台を割り込んだ08年度を0.34ポイント下回った。過去最低を更新するのは2年連続となる。

 全国のうち特に納付率が低かった自治体は千葉県八街市(77%)や群馬県大泉町(78%)、東京都新宿区(78%)、大阪府東大阪市(79%)など。厚労省は「景気の影響を受けやすい中小企業が集まっている町や、外国人の多い市町村の納付率が低くなる傾向にある」(国民健康保険課)と分析している。

 赤字穴埋めのため市町村が一般会計/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E3E5E5E3E4E2E3E4E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NXから税金を繰り入れている分を除いた実質収支は、全国の国保の合計で2633億円の赤字。08年度より赤字額が250億円増えた。納付率の低下や加入者の所得の減少で保険料収入が減ったことに加え、高齢化や医療技術の進歩で医療費が膨らんで保険給付費が増えた。

 1723の国保のうち、赤字国保の割合は53%(916)を占めた。08年度は75歳以上が後期高齢者医療制度に移ったことで国保の負担が減り赤字割合は45%に下がっていたが、財政は再び悪化する傾向にある。

 納付率向上のため一部自治体は保険料の口座振替を推進している。口座振替を原則義務化した名古屋市では納付率は91.44%。札幌市も原則義務にしたところ、納付率は前年度に比べ1.28ポイント上昇し87.13%となった。

 加入者の反発に配慮して義務化を見送る自治体もあるが、保険料の未納分は税金で穴埋めするケースも多い。制度の公平性を高めるためにも義務化の取り組みが求められそうだ。

 厚労省が同時に発表した75歳以上が対象の後期高齢者医療制度の財政状況によると、保険料の納付率は08年度より0.25ポイント高い99%。75歳以上は病院を利用する機会がほかの世代より多いため、納付率は高くなる傾向にある。実質収支は508億円の黒字だった。

 同制度は75歳以上の医療給付費の原則5割を税金、4割を現役世代の支援金、1割を高齢者の保険料で賄う仕組み。財源の調達割合が明確になっているため、財政は国保よりも安定している。ただ、政府・民主党は同制度を廃止して新しい制度を13年度中に導入する方針を示している。

2011年7月3日日曜日

注目テーマ 閣僚の愚発言

..注目テーマ


注目テーマ・菅内閣と政局

注目テーマトップへ .. 自民党の石原伸晃幹事長は7月4日の民主党の岡田克也幹事長らとの会談で、松本龍復興対策担当相が東日本大震災の被災地復興を巡り「知恵を出さないやつは助けない」と発言したことを批判した。そのうえで「被災地は知恵を出している」と強調した。公明党の井上義久幹事長も同調し、岡田氏は「松本復興相に伝える」と応じた。

.....読売新聞 復興相「問題ない。長幼の序わきまえた方いい」 . 日本経済新聞 自民・逢沢氏「常軌逸した発言」 松本復興相を批判 . 朝日新聞 ポスト菅、所得はどんぐりの背比べ 平均2403万円 .

 松本復興相は4日昼、自らの発言について、「私は(問題)なかったと思う」と述べた。また、菅首相から求められれば、発言の真意を首相に説明する考・・・ >>続き 最新ニュース

 自民党の石原伸晃幹事長は4日の民主党の岡田克也幹事長らとの会談で、松本龍復興対策担当相が東日本大震災の被災地復興を巡り「知恵を出さないやつ・・・ >>続き

 「ポスト菅」の所得は横一線――。4日の所得公開で、菅直人首相の次を担う「若い世代」の民主党国会議員・・・ >>続き



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...読売新聞 自民・国対委員長「常軌を逸したひどい発言だ」 . 日本経済新聞 民主幹事長、松本復興相の被災地での発言「違和感を感じる」 . 朝日新聞 復興相発言に一斉反発 「暴言」「辞任を」「命令口調」 .

 自民党の大島理森副総裁は4日午前、松本復興相が被災地の復興について「知恵を出したところは助けるけど、知恵を出さないやつは助けない」などと発・・・ >>続き

 民主党の岡田克也幹事長は4日、松本龍復興担当相が宮城県と岩手県の訪問時に「知恵を出さないやつは助けないぐらいの気持ちをもって」などと発言し・・・ >>続き

 松本龍復興担当相が東日本大震災の被災地で「知恵を出さないやつは助けない」などと発言した問題で4日、野党や被災地から一斉に批判の声が上がり、・・・ >>続き 最新ニュース



..読売新聞 松本復興相発言、官房長官「コメントは控える」 . 日本経済新聞 民主幹事長「不愉快な思いさせた」 自公との3党幹事長会談で . 朝日新聞 松本復興相、岩手・宮城両知事にきわどい発言連発 .

 枝野官房長官は4日午前の記者会見で、松本復興相が被災地復興について「知恵を出さないやつは助けない」などと発言したことについて、「個々の発言・・・ >>続き

 民主、自民、公明の3党の幹事長は4日午前、延長国会の審議再開を巡り国会内で会談した。冒頭、民主党の岡田克也幹事長は「大変不愉快な思いをさせ・・・ >>続き

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 民主、自民、公明3党は4日午前、国会内で幹事長・国会対策委員長会談を開き、空転していた国会を今週中に正常化させることで一致した。 民主・・・ >>続き

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読売新聞 首相退陣「8月末までに」72%…読売世論調査 . 日本経済新聞 松本復興相「突き放すことも」 被災地知事に相次ぎ注文 . 朝日新聞 菅首相、鼻声で「大丈夫だ」 会食で3条件実現に意欲 .

 読売新聞社が1〜3日に実施した全国世論調査(電話方式)で、菅首相の続投によって、政治の停滞が生じて・・・ >>続き 07/04一面

 松本龍復興担当相は3日、岩手県の達増拓也知事、宮城県の村井嘉浩知事と両県庁でそれぞれ会談し、東日本大震災からの復興をめぐり「知恵を出さない・・・ >>続き

 菅直人首相は3日夜、民主党内の自身のグループの国会議員らと公邸で会食した。出席した藤田一枝衆院議員によると、風邪の首相を心配して6、7人が・・・ >>続き



日本経済新聞 共産党の志位委員長、大連立の動き強く警戒 . 朝日新聞 特例公債法案、与野党協議へ 民自公幹事長が一致 . 日本経済新聞 首相「今月がとても大事」、菅グループ議員と懇談 .

 共産党の志位和夫委員長は3日の中央委員会総会で、東日本大震災後の民主党と自民、公明両党について「国民に苦難を押しつける政治を共闘して進めて・・・ >>続き

 民主、自民、公明3党の幹事長は3日のNHKの番組で、特例公債法案の成立に向けた与野党協議を早急に始めるべきだとの考えで一致した。ただ、自民・・・ >>続き

 菅直人首相は3日、首相公邸で菅グループの江田五月法相、藤田一枝衆院議員らと懇談した。退陣の条件にあげている赤字国債発行法案、今年度第2次補・・・ >>続き



..テーマ一覧.福島原発事故 東京電力は福島第1原子力発電所で原子炉冷却などに使っているホースを点検し、強度の高いものと交換する作業を始める。7月3日に5号機のホースで水漏れが発生し冷却が一時的にできなくなったため、安全対策として5号機以外で同じ材質のホースを使っている場所の確認を急ぐ。(→東日本大震災、→電力問題)

菅内閣と政局 自民党の石原伸晃幹事長は7月4日の民主党の岡田克也幹事長らとの会談で、松本龍復興対策担当相が東日本大震災の被災地復興を巡り「知恵を出さないやつは助けない」と発言したことを批判した。そのうえで「被災地は知恵を出している」と強調した。公明党の井上義久幹事長も同調し、岡田氏は「松本復興相に伝える」と応じた。

東日本大震災 東北地方の太平洋沿岸に甚大な被害を及ぼし、平穏な暮らしを打ち壊した東日本大震災から3カ月半。大津波で我が家を失った被災者は、終わりの見えない仮住まいで疲弊を深めている。(→福島原発事故、→電力問題)

東電と電力問題 政府は7月1日、東京電力と東北電力管内の大口需要家(契約電力500キロワット以上)に対し、電気事業法27条に基づく電力使用制限令を発動する。夏の電力不足に備えるため、昨夏比15%の使用削減を義務付ける。中小企業や一般家庭にも同率の節電を要請する。(→東日本大震災、→福島原発事故)

2011年6月26日日曜日

すごい現場~事例に学ぶ ヤマト運輸ビジネスリーダー

計画停電で生きた「パンデミックの備え」 ヤマト運輸 被災企業はこうして早期復旧した

 東日本大震災後の電力不足を受けて首都圏で実施された計画停電。ヤマト運輸は一部の物流拠点が停電の対象となり、荷物の仕分けやコールセンター業務ができなくなる事態となったが、周辺の拠点に作業を肩代わりしてもらうことで無事、乗り切った。停電や深刻な燃料不足はヤマトにも「想定外」だったが、2年前、新型インフルエンザの爆発的大流行(パンデミック)懸念が高まった際の取り組みが生きた。


 東京電力が早急に計画停電を実施に移したのは2011年3月14日。それからわずか3日後の3月17日午後6時20分頃、神奈川県愛川町にあるヤマト運輸の中間物流拠点「厚木ベース」への電力供給が途絶えた。福島第1原子力発電所の事故などを受け、東京電力が3月14日から実施していた計画停電の対象地域となったのだ。

新設した「救援物資輸送協力隊」が、被災地域の各自治体や自衛隊などと連携して、救援物資の仕分け作業や各拠点への輸送を支援
 この時間帯は荷物の仕分け作業がピークを迎える。このため電力供給が滞ってしまうと、作業の大幅な遅延を招きかねない。大規模な遅配が起きれば、顧客からの信用を失う。仮に自家発電装置を用意したとしても十分ではなく、複数ある作業ラインのうちの1つを動かせるかどうかの電力を確保するのが精いっぱいだ。

■3時間にわたり、荷物も電話も周辺拠点に振り分け

 計画停電という「想定外」の事態に直面したヤマトだが、BCP(事業継続計画)という備えを最大限に生かすことで「顧客への影響を未然に防いだ」(筧清隆品質向上推進部長、4月16日よりヤマトフィナンシャル執行役員東京統括支店長)。特定のベースが機能しない状況に陥っても、近隣のベースで仕分け作業を継続できる仕組みを整えていたからだ。

 実際、厚木ベースへの電力供給が再開した午後9時20分までの約3時間、厚木ベースに持ち込む予定だった荷物を、同じ時間帯に計画停電の対象から外れていた西東京や静岡、神奈川など4カ所のベースに振り分けた。

 計画停電の影響は仕分け作業だけにとどまらない。厚木ベースは同じ建屋内に、集荷依頼など顧客からの問い合わせを受け付けるコールセンターを備える。計画停電で電力供給が途絶え、このコールセンターも機能しなくなった。

 ベースの場合と同様、コールセンターでも事前の備えが功を奏した。問い合わせの電話を別のコールセンターに振り分ける「受電分散」の仕組みを使ったのだ。これによって、「停電による影響などを心配したお客様から、12月のピークに匹敵する件数の問い合わせがあったが、十分に対応できた」(筧部長)。


 なぜヤマトは事業継続の要であるベースやコールセンターが機能を失うリスクを想定して準備を進めていたのか。背景には、2009年に新型インフルエンザの爆発的大流行(パンデミック/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E5E2E0E1E1E2E0E4E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NX)というリスクが顕在化したことなどがあった。

■40%欠勤でも事業継続を可能に

緊急時に近隣のベースに荷物を振り分ける仕組み

 ヤマトが荷物を集荷・配送する仕組みはこうだ。まず、全国に約4000カ所ある「センター」と呼ばれる営業所に集めた荷物を全国71カ所のベースに持ち込む。ベースでは持ち込んだ荷物を仕分けし、配送先に近いセンターに送る。全国に10カ所ある支社の主管地域を荷物がまたぐ場合は、ベースで仕分けた荷物を、配送先を管轄するベースに移したうえで、最寄りのセンターに届ける。もしパンデミックでベース勤務者の大半が出勤できなくなれば、持ち込まれた荷物の仕分け作業がストップしてしまう。

 こうした事態に陥れば「大規模な遅配は免れない」(筧部長)。このため、たとえベース勤務者や配達員の40%が欠勤しても、事業を継続できるBCPを作り上げた。全国のいずれかのベースが機能しなくなっても、近隣のベースで荷物の仕分け作業を肩代わりできる仕組みを構築したのだ。

 具体的には、過去の物量などの実績データに基づいて、近隣のベースにどれだけの荷物を振り分けるべきかをシミュレーションし、時間帯ごとにパターン化している。「パンデミックと計画停電はベースが機能しなくなる点で根は同じだった」(筧部長)。

 ヤマトは阪神淡路大震災の経験を踏まえ、2000年に「危機管理マニュアル」を作成した。地震や大雨などいくつかのリスクに備えて、事前に準備すべき事項や心構え、復旧の優先順位などを定めた。


 2007年には、今後30年以内に発生する確率が87%といわれる東海地震に備えて「本社地震対策マニュアル」を策定した。これは本社が被災するケースを想定したBCPで、地震発生後に、時間軸に沿って各部門がどういう手順で対処すべきかや本社機能を支社に移す手順などを規定している。

ヤマト運輸によるBCP策定の推移

 パンデミックの危険性が叫ばれ始めた2009年頃、ヤマトで「既存のBCPではパンデミックに対処できない」との危機感が高まった。パンデミックでベース勤務者や配達員の大半が出勤できないとなれば、本社だけでなくベースも機能しなくなることが予想できたからだ。だからこそ、複数のベースが機能しないケースを想定して、BCPを整備した。

■難題は4つ、“ダブル”対策本部体制で対処

 備えが十分でも、意思決定が遅れれば宝の持ち腐れになる。ヤマトがパンデミックに備えたBCPを計画停電に生かす判断を素早く下せたのは、指揮命令系統を整備できていたことが大きい。

 震災発生後、ヤマトはすぐにBCPに沿って、主に被災地域での対応を担う対策本部を設置。社員の安否確認、荷物の保全、施設の保全、業務復旧という順序で対処し始めた。

 さらに、震災から3日後の3月14日、ヤマトは事業継続を担う対策本部を新たに設けた。計画停電への対応はこの本部が一手に引き受ける。

 新たに対策本部を設置した理由について筧部長は「東日本大震災は影響が広範囲に及んだため、対策本部が1つでは対処しきれないと考えた。被災地域の対応に加えて、計画停電や燃料不足、社員の通勤困難、首都圏での物資不足という4つの事態に対処するには別に対策本部が必要だった」と説明する。

■現場の判断で出勤先を変更可能に


ヤマト運輸の筧清隆・前品質向上推進部長

 この4つの事態のうち、計画停電と並んで影響が特に大きいと考えられたのが燃料不足だった。宅配事業を展開するヤマトにとって、燃料不足は顧客に荷物を届けられないリスクを生む可能性があるからだ。

 ヤマトは関連会社の力を結集し、事態の打開に動いた。ガソリンスタンドの管理・運営などを手掛けるヤマトオートワークスから、集配車両の燃料である軽油を優先的に調達できるようにした。

 燃料不足は配達員の足にも影響を与える。というのも、ヤマトでは配達員の大半が車で通勤するからだ。

 対策は2つ。1つは、配達員に通勤手段を公共交通機関や自転車などに改めるよう促した。車以外にどういった通勤手段が適切かを配達員が判断できるよう、自宅からの距離別に通勤手段の割合についての情報も提供した。

 もう1つは、現場の判断で出勤先を最寄りのセンターに変えられるようにした。「権限を現場に委ねることで、上長に報告する時間を省け、事業への影響を最小限に抑えられると判断した。緊急時は調査・報告の手間を極力省くことが重要になる」と筧部長は話す。

 事業継続を担当する組織を別に設けたことで、当初の対策本部は被災地域の復旧支援に力を集中できるようになった。3月23日に被災地域の主管支店傘下に設置した、復旧支援の専門組織「救援物資輸送協力隊」が最たる例だ。岩手や宮城、福島の3県に集配車両を200台、支援人員を500人配置した。自治体や自衛隊などと連携し、救援物資の仕分け作業や各拠点への輸送を支援している。

 計画停電への対応などが一段落した3月24日、ヤマトは対策本部を1つに統合した。 (以上、敬称略)

2011年6月22日水曜日

日本のデタラメ他でたらめ奴の東電原発事故大罪 米欧の放射能避難は適切だった

放射性物質、ジェット気流で欧州へ…研究チーム

 東京電力福島第一原子力発電所事故で大気中に放出された大量の放射性物質は、
強い偏西風のジェット気流に乗って欧州まで運ばれたと、
九州大と東京大の研究チームが22日発表した。     日本気象学会誌電子版に近く掲載される。
 九州大応用力学研究所の竹村俊彦准教授らが、大気中の微粒子の動きを計算できるモデルを使い、
水素爆発などで第一原発から出た放射性物質の動きを再現した。
 それによると、放射性物質は、
3月14~15日に東日本を通過した低気圧の上昇気流で上空約5キロに舞い上がり、
例年より強かったジェット気流に乗って1日約3000キロを移動。
17日に北米大陸の西岸に到達し、アイスランドなどを経由して23日にはスイスにまで達したという。 
                                     (2011年6月23日15時38分 読売新聞)

2011年6月18日土曜日

政官業界が癒着「鉄の三角形」原発問題、混乱招いた最も聡明な人々

福島第1原子力発電所の事故からまもなく3カ月。緊迫した状況は今なお続く。なぜ事故を防げず、混乱が収まらないのか。背景には、外部からのチェックを受け付けない「原子力ムラ」の存在がある。そこには日本版ベスト・アンド・ブライテスト(最良の、最も聡明な人々)のもたれ合いが見える。

 原子力ムラの中枢を構成するのは、経済産業省、政治家、電力会社。これまで互いにエネルギー政策の主導権を争いながらも閉ざされた「鉄の三角形」の中で、互いの既得権益を守ってきた側面がある。
 1990年代以降、原子力ムラには3つの大きな転機があった。いずれも国民の利便性向上などの改革につながる転換点だったが、結局は鉄の三角形の既得権益を守る方向で決着した。その経緯からは国民不在でムラの論理を優先させる姿が浮かび上がる。

■転機(1) 経産省の影響力高めた省庁再編

 転機の一つに挙げられるのは2001年1月に実施された中央省庁再編だ。

 現在の国の原子力行政は両輪構造になっている。「推進機関」として経産省資源エネルギー庁と内閣府原子力委員会があり、「安全規制機関」として経産省原子力安全・保安院と内閣府原子力安全委員会がある。この体制は01年の中央省庁再編で発足した。

 省庁再編は高級官僚の接待汚職事件を引き金に「霞が関改革」の気運が高まったことを受け、1997年に橋本龍太郎内閣が枠組みを決めた。大蔵省(現・財務省)は金融行政を切り離され、厚生省と労働省(現・厚生労働省)、建設省と運輸省(現・国土交通省)がそれぞれ統合するなど、霞が関の景色は一変。そんな中で通商産業省は名称こそ変わったものの、無傷で「経済産業省」に衣替えした。

 とりわけ原子力行政では、経産省の役割が通産省時代よりも大幅に強化された。それまで科学技術庁にあった原子力局と原子力安全局を廃止し、経産省資源エネルギー庁に原子力安全・保安院を新設。総務庁の下で政策づくりの要だった原子力委員会は改組し、従来は閣僚が務めていた委員会委員長は有識者、科技庁原子力局長が務めていた委員会事務局長は当時新設の内閣府課長級ポストにいずれも格下げし、相対的に原子力政策の「推進」面も「安全」面も経産省の影響力が増した。

 新体制発足後、原発絡みの不祥事やトラブルが発生するたびに、原子力行政の「推進」と「安全」の旗振り役が経産省の傘下に同居していることを問題視する議論が広がり、「保安院を環境省に移管すべきだ」との声も上がった。だが経産省は「人事体系を分ければいいというものではない。ミスを発見し、大事故への拡大を防ぐためには情報の共有が必要だ」などと激しく反発。アクセルとブレーキが同居する形が現在まで続くことになった。

70年代の佐橋滋vs両角良彦の元事務次官同士の派閥争い、93年の熊谷弘通産相(通産官僚OB)による内藤正久産業政策局長解任騒動など、通産省時代からこの組織では人事抗争が繰り返されてきた。その後も石油公団廃止(05年)後の関連会社や天下り先の人事を巡る大物OBの介入など、「省益あって国益なし」との批判が経産省には絶えない。96年に発覚した元石油卸商による脱税事件(「泉井事件」)に絡み、通産省は過剰接待で多数の処分者を出したが、省庁再編の際には過去を問われず、通産シンパだった首相の橋本の意向もあって組織が温存されたという。


 省庁再編の翌年、次の転機が訪れる。

■転機(2) 東電の原発データ改ざん

福島第1原発は緊迫した状況が今なお続く=東京電力提供

 02年8月、福島第1原発の定期検査を巡る東京電力によるデータ改ざんが発覚した。

 同原発の原子炉格納容器の密閉性を測る試験で、東電が意図的に空気を注入したりするなどしてデータを操作したことを作業を請け負っていた米GE(ゼネラル・エレクトリック)の元社員が資源エネルギー庁に内部告発した。東電では当時の南直哉社長、荒木浩会長に加え、那須翔、平岩外四の両相談役の歴代社長4人が不祥事の責任を取る形で一斉辞任を余儀なくされた。

 歴代4社長の辞任は、清水正孝社長が引責辞任するという今回の事故を受けた経営体制の見直しよりも大掛かりだ。その裏には改ざん発覚後に開いた記者会見での社長の南の発言がある。

 当時進行中の福島第1原発のプルサーマル計画について南は「信頼を損ねた以上、私どもからお願いすることはできない」と事実上の凍結方針を明らかにした。プルサーマルは再処理した核燃料を利用することで資源の有効活用が可能になる一方、技術的な課題を指摘する声が根強くあった。

 経産省はプルサーマルを含む核燃料サイクルを国策として推進する立場だったが、南の凍結発言はただでさえ95年の高速増殖炉「もんじゅ」の火災事故などで破綻に瀕(ひん)していた政策の足かせになる格好になった。南の発言を聞いた経産省幹部は「原子力政策の身動きが取れなくなった」と激怒。これが前代未聞の4社長辞任の発端といわれていた。

 データ改ざん問題は電力業界の体質改善を一気に進める好機だった。だが歴代社長辞任でカタルシスを得た経産省は長年の懸案だったはずの「発送電分離」など、それ以上の改革に踏み込むことはなかった。経産省は原子力行政の体制維持を優先させたのである。

 それどころか、この時、原子力ムラの自浄作用に大きな疑問を抱かせる経産省の不手際が明らかになる。

 そもそもGEの技術者が資源エネルギー庁に内部告発の文書を送ったのは2000年12月。その対応は翌月(01年1月)に発足した保安院に任されたが、保安院はその告発を2年も放置したうえ、告発者の氏名を東電に明かすという大失態を演じていた。本来は監督当局として公正中立の立場にあるべきにもかかわらず、経産省は「原発安全神話」や原子力ムラの秩序にこだわるあまり、告発を押さえ込む方向に引きずられた。


■転機(3) 立ち消えになった電力ビッグバン

2011年3月期連結決算を発表する東京電力の清水正孝社長(5月20日午後、東京・内幸町の本店)=共同

 実は省庁再編と改ざん問題からさかのぼる90年代後半、電力業界は電力会社の地域独占体制を改める「自由化」を巡って永田町や霞が関で激しいつば競り合いを演じていた。これがもう1つの転機だ。

 最大のヤマ場は97年1月、「タブーとされてきた電力会社の発電、送電の分割を大いに研究すべきだ」という当時の佐藤信二通産相の年頭所感で幕が開いた「電力ビッグバン」騒動。当時の橋本政権は「01年までに国際的に遜色のない電気料金の実現」「発電・送配電の分離」「火力発電事業への競争入札制度導入」などを掲げ、電力業界の構造改革を進める構えを見せていた。

 だが政権の腰が定まらなかった。業界への切り込み役を務めた佐藤通産相は97年9月の内閣改造人事であっさり退任。98年7月に橋本内閣が参院選敗北で総辞職すると、「電力ビッグバン」の言葉は死語になった。

 もともと橋本政権が電力自由化を切り出した背景には、東電の社長、会長を歴任した平岩が経団連会長在任中に宮沢政権を倒して誕生した細川護煕政権にシンパシーを寄せたことや、経団連による政治献金斡旋廃止を打ち出したことに対する自民党の「報復」の意味合いがあったといわれていた。

 電力ビッグバンは「動機が不純」だっただけに、腰折れになったといってもいい。自由化論者とされた通産省の「改革派」たちも、結局はご都合主義の自民党政権の先棒を担がされたという印象を残しただけで、電力会社の地域独占は温存された。

 エネルギー行政を巡る政官民の関係が垣間見える発言がある。


 「私が“電力官僚”だった20代半ばのころ、先輩から『電気事業法に触るとクビが飛ぶぞ』と言い聞かされた記憶がある」。経産省OBで、現在はみんなの党幹事長である江田憲司が5月17日の記者会見で披露したエピソードだ。

■政官民の3すくみ

「鉄の三角形」の中で互いの既得権益を守ってきた(左から国会議事堂、東京電力本社、経済産業省)

 電力会社に安定した電力供給を義務づける一方で、地域独占体制を認めたのが65年に施行された電気事業法。この法律を変えることは、既存の9電力体制(沖縄電力を加えれば10電力)の改革・再編の道を開くことにつながる。そうなると、政治力旺盛な電力業界が黙っていない。官僚本人だけでなく、資源エネルギー庁長官を更迭することにもなりかねないという話だった。

 官僚、政治家、企業の関係は「3すくみ」とよくいわれる。官僚は政治家(大臣)に弱く企業には強い、政治家は官僚に強いが企業(スポンサー)には弱い、企業は政治家に物を言えるが官僚(監督官庁)には弱い――というのが3すくみ。経産省と電力業界、与党時代の自民党の関係はその典型だった。だが見方を変えれば、この3者は持ちつ持たれつの関係で利益を享受してきた「鉄の三角形」ともいえる。

 電源の開発では大きなカネが動く。特に原発の場合、まず建設費が火力発電所の1.5倍の1基あたり4000億~5000億円という巨大プロジェクトになる。これに電源3法交付金など、国から原発が立地する自治体への交付金や外郭団体が受け取る原子力関係予算の総額が年間ざっと4500億円(11年度概算要求ベース)、このほか原発プラントのメンテナンスや使用済み核燃料再処理、放射性廃棄物処分など、電力会社からの原子力関係支出が年約2兆円に達する。

 大きなカネが恒常的に動けば、それは「利権」になる。当然、政治家も企業も官僚も分け前に与ろうと躍起になる。

■エリートがはまる失敗の構図

 「原発安全神話」に不可欠な学者、有識者も含め、そこに群がる人々は例外なくトップエリートたち。経産次官は現任の松永和夫をはじめ、ほとんどが東大法学部卒であり、東京電力の61年以降50年間の歴代社長8人のうち、現社長の清水を除く7人が東大OB、そして日本の原子力学界の主流は東大工学部原子力工学科の卒業生。原発には日本の頭脳が集まっている。

 つまり福島第1原発で「レベル7」の大惨事を引き起こした原子力ムラは、日本の「ベスト・アンド・ブライテスト」の集合体だったといえる。

 根拠なき楽観、見たくないものから目をそらす習性、現場軽視、権力者への迎合――。60年代の米国をケネディ政権の超エリートがベトナム戦争の泥沼に引きずり込んでいったのと同じ失敗の構図が浮かび上がる。

 責任体制が明確ではなく、対応は後手に回り、情報は二転三転する。今回の事故とその後の混乱による国への打撃は、これまでの3つの転機と比べものにならないほど大きい。これで「原子力ムラ」の体質が転換できなければ、原子力行政の未来は開けない。

2011年6月1日水曜日

遺跡からの出土品 保管自治体都道府県上位10位

自治体が保管している出土品の数量(上位10位) 順位 都道府県 箱 数


1 大阪府 928,685

2 福岡県 580,977

3 千葉県 389,317

4 京都府 329,666

5 東京都 304,850

6 兵庫県 263,728

7 北海道 242,580

8 奈良県 242,285

9 群馬県 224,411

10 新潟県 216,091

注)2008年度末時点、1箱=0.036立方m換算

2011年5月31日火曜日

ため池の多い主な府県

  府     県         ため池の数     ため池の密度(1平方キロメートルあたりの数)

  兵庫県            43,321                       5.2

  広島県            20,183                       2.4

  香川県            14,619                       7.8

  大阪府            11,102                       5.8

  山口県            10,636                       1.7

  岡山県             9,802                        1.4

(注)大阪府の資料を基に作成、2010年4月時点

2011年5月30日月曜日

仮設住宅の建材、2万戸分が宙に 各社に在庫の重荷

仮設住宅の建材、2万戸分が宙に 各社に在庫の重荷

 政府が東日本大震災の被災地に整備する仮設住宅の設置目標を約7万戸から約5万戸に引き下げたことで、2万戸分の建設資材が宙に浮いている。大和ハウス工業/async/async.do/ae=P_LK_ILCORP;bg=0000126;dv=pc;sv=NXなど大手住宅各社は地場の中小工務店が建てる仮設住宅に資材を振り向けたり、集会所など住宅以外の施設に転用したりして、在庫圧縮を急いでいる。しかし2万戸分の資材の有効活用には限界もあり、各社が数十億円の損失処理を迫られる可能性もある。
2万戸分の建設資材が宙に浮いた(宮城県石巻市)=共同
 仮設住宅の供給について政府は、お盆までに約7万戸を用意し「希望者全員が入居できるようにする」(菅直人首相)目標を打ち出していた。大手などで構成する住宅生産団体連合会(住団連)傘下のメーカーが約6万戸、地場の工務店が約1万戸を整備することになっていた。
 しかし自治体の建設用地確保が難航し、仮設住宅の完成を待たずに民間の賃貸住宅などへの入居を希望する人も増えた。
 例えば避難者数をもとに概算で3万戸程度の仮設住宅の建設と見込んでいた宮城県は5月中旬、総戸数を約2万3千戸に修正した。被災した沿岸市町を調査した結果、大幅に減少した。県内の沿岸部では平地が津波で浸水。被害を免れた高台で必要数の用地確保が難しい市町もあり、仮設住宅の着工が当初思うように進まなかった。避難者のなかには、仮設住宅への入居に時間がかかるとみて民間賃貸住宅を選んだ人もいるようだ。
 こうした事情から国土交通省は8月時点で必要な仮設住宅の戸数を約7万戸から約5万戸に引き下げた。
 中小メーカーや地場工務店は在庫を抱える体力がないため、2万戸減のしわ寄せは住宅大手が中心にかぶることになり、各社は調達済みの建材、複数の建材を組み立ててある「半製品」の在庫を最大2万戸分抱える可能性がある。
 建材、キッチンや風呂などの設備を地場の工務店に引き渡すほか、集会所など仮設住宅以外の建造物への転用を急いでいる。しかし大手と中小では工法が異なるため、転用できる建材は限られるとの見方もある。
 大手各社は8月までに供給する戸数の配分を再調整し、今期中に損失処理を実施する見通し。仮設住宅の整備事業はもともと収益率が低いため、資材の在庫処分に伴い大手各社の損失は数十億円に膨らむ可能性も

2011年5月23日月曜日

日経平均3日続落9500円下回る 4月19日以来1ヶ月ぶり

東証大引け、3日続落 1カ月ぶり9500円割れ 景気減速を警戒      2011/5/23 15:30

 23日の東京株式市場で日経平均株価は3日続落した。終値は前日比146円45銭(1.52%)安い9460円63銭と、4月19日以来約1カ月ぶりに心理的節目である9500円を下回った。中国の景気減速懸念から機械株が大きく売られ、市場全体の投資家心理を冷やした。格付け会社による長期債務格付けの引き下げでギリシャの財政問題に注目が再び集まり前週末の米国株が反落したことも投資家のリスク回避姿勢を強めた。自動車や電機など主力株や精密、半導体関連など幅広く売られた。
 コマツの下落率は一時7%弱に達し、日立建機は年初来安値を更新した。米景気や中国景気の減速に対する警戒感に加え、一部の証券会社が20日付で機械株に慎重な投資判断を示したことが重荷になった。立花証券の平野憲一執行役員は「中国やインドなど新興国で金融引き締めに伴う景気減速懸念が強いほか、国内でも下期に景気が回復するという楽観シナリオを慎重に見極めようとする動きが強い」と話す。

 東証株価指数(TOPIX)も3日続落した。前週末比1.22%下げて3月17日以来、約2カ月ぶりの安値水準で終えた。業種別TOPIXは医薬品を除く32業種が安く、機械、その他金融業、保険業の下げが目立った。

 東証1部の売買代金は概算で1兆2415億円、売買高は同18億2739万株。それぞれ前週末20日と比べて1割ほど多かった。東証1部の下落銘柄数は全体の72%にあたる1202、上昇銘柄数は363、横ばいは103銘柄だった。35銘柄が年初来安値を更新した。

 三井住友FG、ソフトバンク、ホンダ、ファナック、日立、東芝、川重が売られた。20日の取引終了後に2011年3月期決算を発表し、連結最終損益が1兆2473億円の赤字に陥った東電は急落した。株式相場の軟調さを受けて野村、松井など証券株が軒並み安くなった。一方で中部電、シャープが買われ、セガサミー、セ硝子、一休の上昇が目立った。KDDIは4日続伸し、約2年4カ月ぶりに一時60万円台を回復した。

 東証2部株価指数は3日続落し、4月7日以来の低水準で終えた。三谷商、ツクイ、日鋳造が下げ、ソディックが値上がりした。〔日経QUICKニュース〕

東証後場寄り、軟調 一時170円近く下落 アジア株安が重荷      2011/5/23 13:05

 23日後場寄り付きの東京株式市場で日経平均株価は軟調。前週末比の下げ幅を一時170円近くに広げ、9400円台半ばまで下落した。前場に続いてコマツなど機械株を中心とする輸出関連に売りがかさんでいる。上海、韓国といったアジアの主要株式相場が軟調なことが投資家心理を冷やした。米国や新興国の景気減速懸念を背景に「株価指数先物に(値下がりリスクを回避するための)ヘッジ売りが出ている」(国内大手証券)との声があった。
 前引け後の東証の立会外取引で、大口投資家が複数銘柄をまとめて売買するバスケット取引は178億円成立した。市場では「投資家の売買は均衡していた」との指摘があった。

 東証株価指数(TOPIX)も午後に下げ幅を広げた。

 12時45分時点の東証1部の売買代金は概算で6818億円、売買高は同10億4052万株だった。東証1部の下落銘柄数は全体の75%にあたる1236と、前引け時点(1202)からやや増えた。上昇銘柄数は275、横ばいは136銘柄だった。
東電、三井住友FG、三菱UFJ、ホンダ、ファナックが売られ、ソフトバンク、東芝、高岳が下げ幅を広げた。一方でKDDI、三井物、一休、ビックカメラが高い。中部電、関西電など東電以外の電力株が持ち直している。〔日経QUICKニュース〕

東証前引け、続落し9500円下回る 海外景気の減速に警戒      2011/5/23 11:25

 23日午前の東京株式市場で日経平均株価は続落した。前引けは前週末比132円25銭(1.38%)安の9474円83銭だった。取引時間中に心理的節目の9500円を下回るのは4月19日以来、約1カ月ぶり。前週末20日の米株安を嫌気し、主力の輸出関連株や銀行、不動産など幅広い銘柄に売りが先行した。中国経済減速への警戒感から機械株が軟調で、全体の投資家心理を冷やした。東証1部全体の73%の銘柄が値下がりした。

 コマツ、日立建機の下落率は前引け時点でそれぞれ6%弱に達し、日立建機は年初来安値を約2カ月ぶりに更新した。米景気の減速や欧州財政問題に対する警戒感に加え、一部の証券会社が20日付で機械株に慎重な投資判断を示したことが重荷となった。中国での建機需要の鈍化懸念が背景に指摘され、外部環境の先行き不透明感を意識させた。

 カブドットコム証券の河合達憲チーフストラテジストは「米株式相場の下げが本格的な下落につながるのか、短期の調整で済むのか見極めたいとの気分が広がっている」と指摘していた。市場では「米国の量的金融緩和第2弾(QE2)終了による株安を見越した売りが海外投資家から出始めているようだ」(準大手証券)との指摘もあった。

 東証株価指数(TOPIX)も続落した。取引時間中としては3月17日以来、約2カ月ぶりの低水準を付けた。業種別TOPIXは33業種すべてが安くなり、機械、保険業、不動産業の下げが目立った。

 東証1部の午前の売買代金は概算で5650億円、売買高は同8億6475万株だった。東証1部の下落銘柄数は1202、上昇銘柄数は310、横ばいは135銘柄だった。

 ソフトバンク、ホンダ、ファナック、川重、三菱重が売られた。野村、三井住友FG、第一生命といった大手金融・保険株の下げが目立った。2011年3月期は1兆2473億円の連結最終赤字になったと前週末発表した東電は急落した。
一方で三井物、KDDI、東北電、シャープ、JUKIが上げ、東京電波は前場は買い気配のまま売買が成立しなかった。
 東証2部株価指数は小幅に反発した。ソディック、日鋳造が上げ、三谷商が下げた。〔日経QUICKニュース〕

2011年5月19日木曜日

民主党の石井副代表ら3人は比で前日もゴルフ

【マニラ共同】フィリピンでゴルフをしたとして、民主党の地震対策本部の副本部長を引責辞任した石井一党副代表らが、問題となった日の前日にもマニラ首都圏郊外の別のゴルフ場でプレーしていたことが19日までに、関係者の話で分かった。生方幸夫衆院議員と那谷屋正義参院議員も一緒にプレーした。石井氏らはこれまで、滞在中のゴルフは一度だけで、石井氏が会長を務める日本フィリピン友好議員連盟の公務に励んだとしていた。3人は17日までの共同通信の取材に事務所を通じ「やっていない」と否定したが、18日になり一転、「ノーコメント」との回答をそれぞれ寄せた。関係者やゴルフ場の記録によると、石井氏らは4日午後、邦人数人とプレー。午前はフィリピンの議員らと面会していた。5日は、別のコースで在留邦人らとゴルフをしていたことが既に明らかになっている。 2011年5月19日(木)10時1分配信 共同通信

新潟日報5月19日夕刊 に 掲載石井談話
 既にけじめつけた
フィリピンのゴルフの件は、東日本大震災の被害者の方に迷惑を掛けたとの批判をいただき、
既に党地震対策本部の副本部長を辞任しており、けじめをつけたと考えている。
4日のゴルフについてはノーコメントだ。

2011年4月30日土曜日

原発事故の経緯 政府・東電の国民見殺し と 米国務長官ヒラリーの激怒と失望

怒鳴る首相、募った「東電不信」 初動混乱の原発事故


迷走1カ月半を検証 (1/2ページ) 2011/4/30 4:00

 「レベル7」という最悪の事故に至った福島第1原子力発電所の放射能漏れ。東京電力、原子力安全・保安院、首相官邸と官僚機構など日本の頭脳たる官民の組織は、初動から、その後の対処でも混乱の収拾は遅れた。幾重もの安全装置の壁を軽々と越えて浸入してきた未曽有の津波を前に的確な情報集約さえできず、米国からの支援も事実上、断るなど瞬時の判断を誤った。迷走した1カ月半。危機は必ず来るという前提で「想定外」に備える難しさを浮き彫りにした。

事故直後、官邸と東電との意思疎通が悪かった(3月15日、東電本店に入る菅首相)=共同

 海江田万里経済産業相は3月14日深夜、東京電力の清水正孝社長から電話を受けた。「放射線量が多く、これ以上、現場では作業ができません。第1原発から退避して第2原発に行きたい」
 爆発寸前の第1原発を事実上、見捨てて南に約10キロも離れた第2原発に大半が避難したらどうなるのか。政府と自衛隊に丸投げされても対処は不能だ。経産相から社長発言の報告を受けた菅直人首相は怒鳴った。「そんなことありえないだろ」

■溶融の恐れに衝撃

 現場は切迫していた。午前に3号機が水素爆発し、午後には2号機で水位低下。午後9時には炉心の燃料溶融に関し枝野幸男官房長官が1~3号機とも「可能性は高い」と言明し衝撃が走る。
 自衛隊員4人が午前の水素爆発で負傷し、防衛省は東電の「大丈夫」との判断に疑問を抱く。夜には中央特殊武器防護隊員らが郡山市の駐屯地に一時退く。
 同様に第1原発の近くで待機していた原子力安全・保安院の職員らも郡山に退く。住民は半径20キロ内からの避難指示だが、安全を担うはずの保安院は50キロ以上先の郡山へ。炉心溶融か、という極限の状況を考えれば、だれよりも危険を認識していた東電が人命を優先して事実上、第1原発からの全面撤退を決断したとしても一概に批判できない。
 一方で首相の東電不信は頂点に達していた。国の存亡、自身の進退を含め、あとはない。第1原発には6つの原子炉と7つの使用済み核燃料プールがある。「チェルノブイリ原発をはるかに超える規模なのに、最悪の事態に関して聞いても誰も答えられない」
 そこで首相は原子力災害対策特別措置法をよく調べるように指示。「原子力災害対策本部長(首相)は事業者に必要な指示をすることができる」との文言を見いだすと「これで東電との統合本部がつくれるか」と口にした。
 清水社長の官邸入りは15日午前4時17分。首相は「本当に撤退を考えているのか」とすごむ。清水社長は「いや、そうではありません。すべてを引き揚げるわけでは……」。

 東電側は「必要な人員だけ残し、その他は離れるとの判断なのに政府が取り違えた」(幹部)と説明する。だが、首相官邸と危機対応の現場では「複数のルートの情報があった。東電が事実上の撤退を念頭に置いていたのは間違いない」と見る関係者は少なくない。


■「東電に責任」

海江田経産相らが出席した統合本部の初会合(東電提供)

 首相の怒りは、初動の遅れ、計画停電での混乱など東電へのいら立ちが募った結果でもある。伏線はあった。2日前の13日午後、清水社長は首相官邸を訪ねている。「なぜこんな事態になったんだ。あまりに不手際を繰り返している」。首相は話が進むうちに突然、激高した。直前に首相は東芝の佐々木則夫社長に「行政がやれることはすべてやる。しっかり対応してほしい」と声をかけた。あまりに対照的な対応だった。
 首相は15日早朝の会談で清水社長に政府と東電の統合本部の設置を打診した。清水社長は「分かりました」と応じるほかなかった。首相が自ら東電本店に乗り込み、幹部らを前に「撤退したときは東電は百パーセントつぶれます」とぶった約1時間前の出来事だ。
 統合本部には首相の名代、細野豪志首相補佐官が常駐する。放射性物質の封じ込めから米国との連携までを一手に担う。首相周辺は「統合本部こそが原発対応の要」と解説する。
 政府が東電の意思決定プロセスに積極介入する一方で、東電を突き放すような態度も目立つ。厳しさを増す東電の経営に関して首相は「基本的には民間事業者としてがんばってもらいたい」との姿勢だ。賠償問題でも首相や枝野官房長官は「一義的には東電に責任がある」と歩調を合わせる。確かに「何十万件にもなるかもしれない訴訟案件を皆、国が引き受けることはできない」(政府高官)。

 4月17日に事故収束に向けて東電が発表した工程表の作成には政府側が強く関与している。「東電に工程表を作るよう指示した方がいい」と細野氏は進言。首相も東電の発表から5日後の記者会見で「国も含めて取り組めば十分、実現可能だ」と期待を口にした。
 東電ばかりを前面に出す姿勢には、政府内でも「官邸の責任の回避だ」との批判が残る。「一義的に東電、と言うのは責任逃れではなく、事実として東電の権限を国が制限する仕組みになっていないからだ」。馬淵澄夫首相補佐官は22日、講演で、東電の株主ではない国の関与には限界があると説明した。
 それなら国策としての原子力推進は一体誰が担ってきたのか。政府高官はぼやく。「結局、東電こそが原子力行政そのものだった」

クリントン長官の勇み足、日本の「甘さ」に一因


原発事故 迷走1カ月半を検証 (1/2ページ) 2011/4/30 4:00

日米外相会談を終え記者会見するクリントン米国務長官(左)と松本外相(17日、外務省飯倉公館)
 日米のあつれきが表面化したのは原発事故が抜き差しならない局面に入った3月11日。クリントン米国務長官の力強い発言がワシントン発のニュースとして流れ、必死の形相だった東京の危機管理に関わる担当者らの顔色が一瞬、ほころぶ。「米軍機で日本の原発施設の一つに非常に重要な冷却剤を輸送した。日本と米国市民のために可能な限り深く関与していく」。出席した大統領輸出評議会で誇らしげに報告したのだ。

■「東電で対処可能」
 危機管理の経験豊富な米軍が動きだした――。これで展望が開けると期待が膨らんだのもつかの間。実際に冷却剤が届いた事実はなく、後に国務省も間違いを認めた。クリントン長官も危機のさなかの日本政府は間違いなく支援を受け入れる、と踏んで「原発に輸送した」との過去形のニュアンスを出したとみられるが、勇み足だった。

 「問題は日本側にあった」。民主党幹部は、この段階では政府が米側の原子炉冷却に関する申し出を断っていたと証言する。早急な海水注入など廃炉/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E5E2E0E1E0E2E0E4E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NXが前提だったからだ。菅直人首相も炉心溶融の危機を十分に認識せず、米国頼みではない自前の対処に傾く。この時、東京電力も「自社で対応できる」と報告していた。
 13日、首相官邸での緊急災害対策本部の会合。北沢俊美防衛相は「ルース駐日米大使から電話があり、エネルギー省副長官が日本政府と意見交換したいと言っている、きちんと話をしてほしい」と発言する。
 情報を要求する米国の強い態度に日本側でも反発が出る。政府関係者は「経済産業省は東京電力と原子力安全・保安院との関係が深い一方で、事故の当事者意識が希薄。『米原子力規制委員会(NRC)などは日本の原発事故の生情報を取りたいだけだ』と突き放していた」と指摘する。
 この間、水素爆発が相次ぎ事態は悪化する。米国との信頼関係も揺らぎ、ついに首相も日米の緊密な連携への方向転換を迫られた。

■米側に募る不信感


 「ちょっと残っていただけますか」。首相官邸での16日の会議後、首相は防衛相を呼び止めた。「日米の連携がうまくいかず困っている」。袖にされていた米側の不信感は強く、NRCとの関係修復が課題だった。同じ頃、ルース大使は民主党有力議員に電話した。「日本政府は危機感を持っているのか。米側の協力を受ける気があるのか」
 変化の兆しが見えたのは自衛隊ヘリが3号機に水を投下した17日。防衛相と会ったNRC幹部のカスト氏は「やっと日本の閣僚に会えた」と表情を緩め、防衛省内で外務省や経産省、NRC、在日米軍の会議の開催が決まった。
 それでももつれた糸を解きほぐすのは難しい。19日の会議では米側が原子炉への窒素注入や格納容器を水で満たす「水棺」を提案した。ともに4月に実行されたが当時は原子力安全・保安院や東電が慎重だった。民間では米建設大手ベクテルの幹部が16日ごろ、首相官邸に「日米間の情報共有を統括するスタッフを置くべきだ」との書簡を送ったが1カ月も放置された。
 米側の不信を伝え聞いた首相官邸は22日、細野豪志首相補佐官がトップの日米実務者協議を設ける。官邸のスタッフは「この頃から日米の意思疎通がスムーズになった」と振り返る。
 それから1カ月後。米国では大半が休日扱いの聖金曜日に藤崎一郎駐米大使は国務省にナイズ国務副長官を訪ねた。「米国は何でもやる」と今後の支援を約束したナイズ氏はモルガン・スタンレーの最高執行責任者(COO)を務めたウォール街出身。
カンター米通商代表部代表のスタッフだった経歴から通商問題に精通し、クリントン長官の訪日の舞台裏を取り仕切った人物だ。
 ナイズ氏は震災の米経済への影響を懸念し、訪日前のクリントン長官に「日本は営業中、とのメッセージが大事です」と進言。米経済界には巨額の復興予算への期待もにじみ、全米商工会議所のドナヒュー会頭は復興ファンドを提唱した。ナイズ氏はクリントン長官来日にドナヒュー氏を同行させ政経一体も演出した。
 来日したクリントン長官は4月17日、松本剛明外相に明言した。「訪日目的は日本がビジネス先、渡航先として大丈夫と示すことだ」。震災発生からは既に1カ月以上が過ぎていた。

放射性物質の拡散予測、「二重行政」で遅れた公表


原発事故 迷走1カ月半を検証 2011/4/30 4:00

 放射性物質の拡散を予測する文部科学省の「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」。第1原発の事故での初公開は1号機の水素爆発から10日以上過ぎた3月23日午後9時だ。枝野幸男官房長官は「文科省に放射能の広がりを逆算できないか指示してきたが(原発から出た放射性物質量の)データがなく難しいとのことだった」と説明した。

 結局、公表に踏み切ったのは開発者たる文科省ではなく内閣府の原子力安全委員会。班目春樹委員長も「(事故後に)なぜか突然、(専門家の立場で)評価してくれと言われた」と文科省の“丸投げ”を示唆する。安全委と経済産業省の原子力安全・保安院の関係もぎくしゃくし「二重行政」が責任の所在をあいまいにする。監督役のはずの班目委員長さえ「保安院が情報を出さない。規制官庁としての見解がない」と憤る。

 安全委は「炉心溶融の可能性」に事故直後から言及する一方、保安院は4月18日にようやく溶融を正式に認めたが「ペレットは溶けたが、(すべての)燃料が溶け落ちる炉心溶融とは異なる」と説明した。

1カ月後のレベル7 「ムラの論理」が遅れ招く


原発事故 迷走1カ月半を検証 2011/4/30 4:00

無人機で撮影した東京電力福島第1原子力発電所(3月24日)=エアフォートサービス提供

 「福島第1原発事故をレベル7と暫定評価」。4月12日、経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦審議官は厳しい表情だった。国際原子力事象評価尺度(INES)では最悪。「フクシマ」はチェルノブイリと同じ重大事故の代名詞になった。

 レベル7の根拠は「数万テラベクレル(テラは1兆)の放射性物質の数時間にわたる放出」。共同会見した原子力安全委員会は、3月15日から数日にわたり、高水準の放射性物質の放出が続いたとする。
 1カ月前のデータによる突然のレベル7宣言。国民にはそう映った。保安院は3月18日にINESをレベル5に上げて以降は据え置く。「変更に値する事象が起きれば見直す」。西山氏は繰り返していたが、事象が起きたのははるか前だった。

1986年事故直後のチェルノブイリ原発=AP

 安全委は早くから把握していたフシがある。安全委が放射性物質の拡散予測を初公開した3月23日。班目春樹委員長は前提として「400兆ベクレルの放出を仮定」と口にした。各地の数字からINES基準では既にレベル6だったが安全委と保安院が議論した形跡はない。

 「驚くことではない」。レベル7宣言の翌13日、米原子力規制委員会(NRC)のヤツコ委員長は冷静だった。虚を突かれた日本国民とは対照的だった。「原子力行政は縦割りで意思疎通が乏しい。見直しは不可避だ」。原子力関連の政府組織OBは自嘲気味に語る。縄張りを越えない「ムラの論理」。過去の原子力事故でも指摘された悪弊がまた顔をのぞかせた。

2011年4月29日金曜日

NY金、最高値更新3日連続 一時1569.8ドルまで上昇

NY金、最高値更新 NY株は2年11カ月ぶり高値   2011/4/30 10:35

 29日のニューヨーク市場で金先物価格(6月物)が通常取引後の時間外で
一時1トロイオンス1569.8ドルまで上昇し、中心限月としての最高値を更新した。
4月月間では8.1%上げ、2009年11月の13.6%以来の上昇率。
この日はダウ工業株30種平均も4日続伸し、
08年5月20日以来約2年11カ月ぶりの高値を付けた。
米国の緩和的な金融政策が続くとして、
投資マネーが金などの国際商品や株式に流入している。

 金が最高値を更新するのは3日連続。
米連邦準備理事会(FRB)が27日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で
6月末に量的緩和第2弾(QE2)を打ち切った後も
資金供給を維持すると決定したことから、上昇にはずみがついている。

 外国為替市場でドルが対主要通貨で下落したのも、
ドルの代替資産とされる金が買われる要因になった。
原油先物相場も3日続伸し、
期近の6月物は前日比1.07ドル高の1バレル113.93ドルで取引を終了。
国際商品市場への資金流入が続いている。

 ダウ平均の終値は前日比47ドル23セント(0.4%)高の1万2810ドル54セント。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は8日続伸し、
00年12月以来10年4カ月ぶりの高値で終えた。
キャタピラーや石油大手シェブロンなどの決算が市場予想を上回り、
収益の拡大期待が高まった。

 ダウ平均は4月の月間で490ドル(4.0%)高と、
昨年12月以来の上昇率となった。
今月4日、3月の雇用統計が予想よりも改善したことを手がかりに、
年初来高値を更新。
東日本大震災直後には一時的に投資家のリスク回避が強まったが、
米主要企業の1~3月期決算が好調だったことなどをテコに反発に転じてきた。

 低金利の持続やカネ余りの期待感から、
国際商品や米国株は当面は高値圏で推移するとの見方が目立つ一方で、
余剰マネー主導の上げに一部には警戒感も出ている。

2011年4月24日日曜日

金のつぶやき金1500ドル史上最高値、7つの理由 2011/4/24 0:00

金価格はついに1500ドルをつけた。その背景には7つの要因がある。

1. 有事の金 リビア、フクシマと国際的有事が勃発し、地政学リスクが高まる中で、リスクを回避し相対的な安全性を求めるマネーが実物資産の代表格である金に流入した。

2. インフレ リビア情勢の緊迫は原油高を引き起こし、新興国需要の高まりは穀物などの資源価格を押し上げ、新興国ではインフレ懸念が拡散。さらに先進国にも波及しつつある。また、先進国では量的緩和政策により通貨供給量が急増。貨幣価値が希薄化することによる資産インフレの兆候も出始めた。そこでインフレヘッジとして金が買われている。

3. 通貨不安 今回1500ドルをつけた決め手になったのが、米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)による米国債見通しの弱含みへの引き下げだ。にわかに米ドルに対する信認低下が加速した。
 しかし、2011年に入ってからの金とドルの関係を検証すると、ドル高の局面でも金が上がっている。ドル高ということはユーロ安、円安ということで、財政危機を抱えるユーロに対する不安感が高まり、また震災後は円への不信感も募っているのだ。
0 そこでドル、ユーロ、円がそれぞれに構造的問題を抱え“弱さ比べ”を演じるという通貨不安が拡大する中で、金が“無国籍通貨”として浮上している。通貨の原点回帰ともいえようか。これまでのようにドル安で代替通貨として金が買われるという単純な公式が当てはまらず、新たな局面を迎えているのだ。
 ユーロに関していえば、トレーダーたちは金利差要因でユーロを買うが、投資家たちは相対的にユーロ高になっても構造的要因によりユーロ不安を募らせている。

4. ソブリンリスク 従来、安全資産の代表格であった国債が日米欧いずれの地域においても財政規律の緩みにより不安視され始めた。特にギリシャ、ポルトガル国債は債務再編、デフォルトの可能性さえちらつく。
 そこで安全性を求めるマネーが、国債から金、スイスフランなどへシフトしている。実際、筆者のゴールドセミナーで最も頻繁に発せられる質問が「日本国債は大丈夫か」ということなのだ。
 リーマンショック後は株から金へのシフトが顕著であったが、2011年は国債を売って金に乗り換えるというリアロケーションが目立つ。金は発行体の無い無国籍通貨ゆえ、ソブリンリスクはゼロなのだ。

5. 新興国需要急増 2010年はインド、中国の2カ国が年間の金生産量2600トンの6割近くを買い占めた。両国の買いは、NY(ニューヨーク)のファンドが先物で売り込み、価格が急落したところを徹底的に拾ってゆくという形。ゆえにバーゲンハンターと呼ばれる。
 2011年1月にも金価格が1300ドルすれすれまで急落したが、中国の個人投資家がインフレヘッジ目的で大量の現物買いをした。これが一時は現物供給不足を起こすほどの規模となり、結局、NY先物売り攻勢を押し切った。この例に見られるように、新興国の買いはレンジの下値をガッチリとガードする効果を持つ。特に中国の買い支えは“鉄板”である。中国人民銀行は利上げを繰り返しているが、金価格は上昇している。人民が金を買うのは、金融政策への不信感の表れともいえよう。

6. 中央銀行の金買い 1990年代に金価格を250ドルにまで押し下げた最大の要因は、欧州各国の中央銀行による金大量売却であったが、2010年は中央銀行部門が買い越しに転じた。
 これはBRICsの中国、ロシア、インドなどが、膨張する外貨準備の中の米ドルの一部を金にシフトさせているためだ。年間500トン程度は売却していたので、それがマイナスの売却量(=購入)に転じたことが需給バランスを逼迫させている。
7. 新産金量の伸び悩み 金価格は過去10年間で5倍以上に上昇したが、世界の金生産量は1割程度しか増えていない。もはや海底など過酷な自然環境の中にしか有望な金鉱脈は残っていないので、新規鉱山開発案件が一向に上がってこないのだ。さらに生産コストも800ドル以上となり、この10年で3倍近くに急上昇している。
 以上の要因はいずれも根の深い構造的要因であり、それらが7つ絡み合って複合要因となっているので、持続性のある上昇トレンドが形成されている。毎日、日替わりメニューのごとく入れ替わり、7つの中の1つ2つから新規材料が出てきているのだ。 では、下げの要因は何が考えられるだろうか

1. リビアの電撃的和平などが実現すれば原油価格も急落し、つられて金価格も下がるだろう。

2. 量的金融緩和/が予定通り6月末に終了すれば、過剰流動性を織り込んだ相場には失望感から売りが先行するだろう。さらに金融政策の正常化から踏み込んで引き締めへの転換、利上げなど、いわゆる出口戦略が発動されれば、金利を生まない金は売られよう。しかし景気が好転すれば物価も上昇するので、実質金利マイナスという状況が続けば金価格の本格的下げとはならない。

3. そこで本当に金が下がる状況は、いわゆるゴールディロックス(適温経済)の実現。熱すぎてインフレにもならず、冷えすぎてデフレにより破綻リスクが高まることもなければ、マネーは株、債券に回帰する。米連邦準備制度理事会(FRB)議長のバーナンキ氏が出口戦略を成功させるシナリオだ。ゆえにバーナンキを信じるのなら、金は売りである。
4. 最後に金特有の要因として、リサイクルを挙げておかねばならない。金は腐食しないので金製品などが高値に誘われて市場にリサイクルとして還流してくる。その量は2009年、2010年と1600トン台に達し、過去最高水準。“金・プラチナ買います”と記したのぼりが全国で見られるが、これは世界的現象なのだ。このリサイクル還流は供給増を意味するので、価格上昇にブレーキをかける。
 比較すると、原油は燃えて消えるのでリサイクルがなくブレーキが利かず、値動きが軽く10倍に跳ね上がったりする。その反動の下げもきつい。その点、金は値動きが重いともいえるし、安定的ともいえる。
 以上、本コラムの第1回では、金市場に何が起こっているのかという最新情報をまとめてみた。これから毎週更新してゆく。

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