2010年5月6日木曜日

ギリシャ欧州財政不安NY株誤発注暴落、悲鳴あがり書類宙舞う


NY株誤発注、その時…悲鳴あがり書類宙舞う

 6日のニューヨーク市場で起きた株価の暴落は、米国のある大手金融機関の誤発注が引き金になったと指摘されている。
 ギリシャなど欧州諸国の財政不安で投資家に不安が広がる中、不自然な値動きが市場の動揺を一気に増幅させたとみられる。
 この日のダウ平均株価(30種)は、午後2時40分からわずか7分間で約600ドルも下げた。「周りから悲鳴が上がり、書類が宙を舞った」。ニューヨーク証券取引所で働くトレーダーのカート・カッツバーグさんはそのときの様子を振り返る。
 米メディアによると、大手金融機関が売り注文を出す際、「ミリオン(100万)」と「ビリオン(10億)」を間違って入力したことが、株価全体を急落させるきっかけになった可能性があるという。米投資会社IMSキャピタル・マネジメントのアート・ヌーンズ氏は、「異常な値動きは投資家を動揺させ、今後さらに大きな下落がくるとの恐怖感を与えた」と分析する。
 証券会社が採用する超高速コンピューターによる自動取引も、株価下落に拍車をかけたようだ。株価が一定の割合で下がった場合に損失が広がるのを防ごうと自動的に売り注文を出すシステムで、「売りが売りを誘う」展開となりやすい。
 ニューヨーク証券取引所を運営するNYSEユーロネクストと、ナスダック店頭市場を運営するナスダックOMXグループは6日、「技術的にもシステム上も問題はなかった」と説明する一方で、午後2時40分~3時の間に株価が60%以上変動した銘柄の取引を取り消すという異例の対応策を発表した。その結果、6日の株価の終値は修正されるとみられる。
 一方、誤発注を疑われた米金融大手は「現時点で証拠は見つかっていない」と否定した。監督機関の米証券取引委員会(SEC)と米商品先物取引委員会(CFTC)は、「調査のため証券取引所や他の金融当局と連携していく」との声明を発表。不正な利益を得ようとする市場関係者の行為がなかったかどうかなどを調べる考えを示している。
(2010年5月8日10時06分 読売新聞)

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