2011年5月30日月曜日

仮設住宅の建材、2万戸分が宙に 各社に在庫の重荷

仮設住宅の建材、2万戸分が宙に 各社に在庫の重荷

 政府が東日本大震災の被災地に整備する仮設住宅の設置目標を約7万戸から約5万戸に引き下げたことで、2万戸分の建設資材が宙に浮いている。大和ハウス工業/async/async.do/ae=P_LK_ILCORP;bg=0000126;dv=pc;sv=NXなど大手住宅各社は地場の中小工務店が建てる仮設住宅に資材を振り向けたり、集会所など住宅以外の施設に転用したりして、在庫圧縮を急いでいる。しかし2万戸分の資材の有効活用には限界もあり、各社が数十億円の損失処理を迫られる可能性もある。
2万戸分の建設資材が宙に浮いた(宮城県石巻市)=共同
 仮設住宅の供給について政府は、お盆までに約7万戸を用意し「希望者全員が入居できるようにする」(菅直人首相)目標を打ち出していた。大手などで構成する住宅生産団体連合会(住団連)傘下のメーカーが約6万戸、地場の工務店が約1万戸を整備することになっていた。
 しかし自治体の建設用地確保が難航し、仮設住宅の完成を待たずに民間の賃貸住宅などへの入居を希望する人も増えた。
 例えば避難者数をもとに概算で3万戸程度の仮設住宅の建設と見込んでいた宮城県は5月中旬、総戸数を約2万3千戸に修正した。被災した沿岸市町を調査した結果、大幅に減少した。県内の沿岸部では平地が津波で浸水。被害を免れた高台で必要数の用地確保が難しい市町もあり、仮設住宅の着工が当初思うように進まなかった。避難者のなかには、仮設住宅への入居に時間がかかるとみて民間賃貸住宅を選んだ人もいるようだ。
 こうした事情から国土交通省は8月時点で必要な仮設住宅の戸数を約7万戸から約5万戸に引き下げた。
 中小メーカーや地場工務店は在庫を抱える体力がないため、2万戸減のしわ寄せは住宅大手が中心にかぶることになり、各社は調達済みの建材、複数の建材を組み立ててある「半製品」の在庫を最大2万戸分抱える可能性がある。
 建材、キッチンや風呂などの設備を地場の工務店に引き渡すほか、集会所など仮設住宅以外の建造物への転用を急いでいる。しかし大手と中小では工法が異なるため、転用できる建材は限られるとの見方もある。
 大手各社は8月までに供給する戸数の配分を再調整し、今期中に損失処理を実施する見通し。仮設住宅の整備事業はもともと収益率が低いため、資材の在庫処分に伴い大手各社の損失は数十億円に膨らむ可能性も

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