2009年10月15日木曜日

JR西は旧日本国有殺人隠し鉄道だったのか 疑問だらけだ

JR西、事故調委聴取会の公述人に介入 宝塚線事故 2009年10月15日12時17分アサヒ・コム

 JR宝塚線(福知山線)脱線事故の調査をめぐり、JR西日本がJR系の研究機関OBに対し、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(現・運輸安全委員会)が07年2月に開いた意見聴取会で専門的知見から意見を述べる「公述人」になるよう要請し、公述内容について働きかけていたことがJR西への取材でわかった。同社は、事故現場カーブで列車が急激に減速しなければならないことがわかるグラフを聴取会で取り上げないよう強く求めたという。
 JR西側が働きかけたのは、永瀬和彦・金沢工業大客員教授。JR系列の研究開発機関「鉄道総合技術研究所」のOBで、当時は、JR西の安全諮問委員会委員長を務めていた。同社は、永瀬氏のほかにも3人に公述人になるよう要請し、うち公述人から漏れた旧国鉄OBら2人には聴取会後、申請資料づくりの手間賃として10万円ずつ謝礼を支払ったという。
 永瀬氏やJR西によると、06年12月、意見聴取会に向けた事故調の事実調査報告書の原案が公表される直前、同社の幹部社員が永瀬氏に公述人になるよう求めたという。
 すでに公述人に申し込むことを決めていた永瀬氏は、聴取会で「余裕のないダイヤ」と指摘されていた事故当時の運行計画が妥当だったことを主張するために、車両の速度パターンを示すグラフを紹介するつもりだった。ところが永瀬氏がJR西側からの要望を受けて公述書を見せたところ、JR西側はこのグラフを取り下げるよう強く求めてきたという。永瀬氏は要請を断り、聴取会でグラフを示したという。
 グラフは、事故現場カーブ周辺が急速に減速する必要のある危険な個所であったことがわかる資料のため、JR西側が聴取会で取り上げられるのを避けたかった可能性がある。
 同社広報部は「当時は働きかけについて問題だとは考えていなかった。しかしご遺族をはじめ関係者に不信感を与えたことは申し訳ない」と話している。
 一方、朝日新聞の取材に対して、永瀬氏は「JR側がなぜ求めてきたのかわからない。金銭や飲食の提供は一切なかった」と話している。
 運輸安全委員会はJR西の働きかけについて、「法に抵触する話ではないが、広く意見を聴こうとする聴取会の趣旨にそぐわない」と話す。また、公述人になるよう要請した人に現金を渡していたことについては「JR西の問題でありコメントできない」としている。
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 〈意見聴取会と公述人〉意見聴取会は、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会設置法(当時)にもとづき、事故調が調査報告書をまとめるために学識経験者らの意見を聴く目的で開く。JR宝塚線脱線事故では07年2月1日に開かれ、事故調が依頼した専門家3人と、公募で選ばれた10人の計13人が公述した。公募の10人は、20人以上の応募の中から、事故調が同年1月に委員会を開いて選定した。永瀬氏はその一人で、ほかに遺族2人と負傷者1人、JR西の副社長(当時)、同社の労働組合幹部らが選ばれている。

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