2010年3月10日水曜日

空港20法人、蓄財290億円 天下り738人受け入れ

空港20法人、蓄財290億円 天下り738人受け入れ  全国の空港で駐車場や保安業務などを担っている国土交通省航空局所管の27の公益法人のうち、国からの天下りを受け入れている団体が20法人あり、正味財産が約290億円(2008年度)と巨額にのぼることが、朝日新聞の調査でわかった。
 正味財産は、公益法人の会計基準で定められている財政状況を示す目安で、資産から負債を引いた金額。民間企業では資本金や剰余金にあたる。全国の空港は経営が赤字で多額の税金が投入されているにもかかわらず、空港で独占的に業務をする「天下り法人」は財産を膨らませていたことになる。各法人は財産の詳細を公表しておらず、公共政策の専門家からは「情報公開が圧倒的に足りない」と批判が出ている。
 公益法人は枝野幸男行政刷新相らが「事業仕分け」の第2弾で必要性の検証を進めるが、前原誠司国交相は、無駄が明らかな空港関連の一部の法人について、独自に整理する意向を示している。
 最も財産が多かったのは、全国19の空港で駐車場経営などを担う空港環境整備協会(整備協)で171億円。20法人の中で突出しているだけではなく、例えば全国で10カ所以上の駐車場を運営している「駐車場整備推進機構」の17億円、高速道路のETCを管理する「道路システム高度化推進機構」の約70億円と比べても多い。国交省内でも「100億円を超える法人は数少ない」との声が上がる。
 整備協の正味財産は05年度と比べると書類上76億円増えているが、「会計の見直しにより財産とする対象が増えたため」と説明。以前は負債として扱ってきた施設整備や退職金などの引当金を、企業会計にならって財産に組み入れた分が大きいという。しかし、引当金などの実態は十分に開示されていない。
整備協は自ら運営する駐車場収入で公益事業を行っている。このため、国からの補助金は入っておらず、国交省内では「詳細な情報公開は必ずしも必要ない」との意見もある。だが、北沢栄・元東北公益文科大学教授は「空港の駐車場経営は、国民の財産である国有地を使って独占的に収益を上げているのと同じことだ」と詳細な情報公開の必要性を指摘している。
 整備協は天下りも多い。常勤・非常勤を含め169人(役職員307人)。北沢氏は「情報が公開されない裏側で、過剰な額が人件費に消えているのでは」と指摘する。
 20法人全体では天下りは738人。航空保安施設信頼性センターは常勤234人(同244人)、航空保安協会は同114人(同828人)などで、空港に関係する法人に多くの役人が天下っている。

0 件のコメント: