2010年10月5日火曜日

日銀、4年3カ月ぶり「ゼロ金利」 資金供給5兆円増

日銀、4年3カ月ぶり「ゼロ金利」 資金供給5兆円増


 日本銀行は5日の金融政策決定会合で、政策金利の誘導目標を従来の「年0.1%前後」から「0~0.1%」へと引き下げるとともに、市場への資金供給量を5兆円増やすことを柱とした追加の金融緩和を決めた。日銀は2001年3月~06年7月に「ゼロ金利」にしていたが、今回、4年3カ月ぶりにゼロ金利政策を導入した。

 利下げはリーマン・ショック直後の08年12月以来となる。日銀は今回、「物価の安定が展望できる情勢になったと判断するまで、実質ゼロ金利政策を継続していく」と表明。物価が安定して上昇するまでゼロ金利を続けるとの姿勢を示す「時間軸政策」も明確にした。
 資金供給の増額は、5兆円規模の「基金」を創設する。この基金を使い、金融機関から国債やコマーシャルペーパー(CP)、社債、不動産投資信託(REIT)、株価指数連動型上場投資信託(ETF)などを買い入れる。
 日銀は8月30日の臨時会合で、昨年12月に導入した新型の資金供給手段(新型オペ)の規模を10兆円増やして計30兆円にするとともに、上積み分の貸出期間を3カ月から6カ月に延ばした。

 今回は新型オペとは別に5兆円規模の資金を供給し、長めの期間の金利をさらに下げることを促す狙い。また、新たに買い入れ資産を増やすことで、企業が資金を借りやすくして、設備投資などを下支えする効果を期待している。

 外国為替市場では、政府・日銀による円売りドル買いの為替介入後も1ドル=83円台前半まで円高が進んでいる。米連邦準備制度理事会(FRB)が11月にも追加緩和に踏み切るという見方も強まっている。日銀が追加緩和を見送れば、円高が一層進むとみられていた。

 日銀の追加緩和は8月30日の臨時会合以来。米欧の景気減速や円高の影響から企業の先行きの景況感が悪化し、景気回復のシナリオが崩れかねないため、追加緩和で先行き不安を和らげる狙いがある。

 日銀は会合後の公表文で、足元の景気について「改善の動きが弱まっている」と付け加え、従来の「緩やかに回復しつつある」との見通しから引き下げた。

0 件のコメント: