2011年3月16日水曜日

円が対ドル76.25円に急騰し史上最高値を更新1995年4月19日79.75円以来

円が対ドルで史上最高値、一時76円台に急騰=NY市場 16日    2011年3月17日(木)8時41分配信 ロイター 


 16日のニューヨーク外国為替市場では、日本の福島原発の状況に対する懸念が強まるなか、
円が取引終盤、対ドルで史上最高値を更新した。
日本の財務省・日銀が円上昇を抑制するための介入に動くかどうか、市場は注意深く見守っている。

 電子取引システムEBSで、ドル/円は4%以上下落し、1ドル=76.25円をつけた。
これまでの過去最安値は、1995年4月19日につけた1ドル=79.75円だった。
東日本大震災以来、日本や海外の投資家らの間では、
豪ドルなど高リスクとされる資産のロングポジション解消の動きが広がり、円への買いが先行している。

 フォレックス・ドット・コムのチーフストラテジスト、ブライアン・ドーラン氏は
「介入以外、(ドルの)下落は止められない」と述べた。
 同氏は、フランスが日本の危機による経済への影響を討議するための
主要7カ国(G7)電話会議を計画していることを指摘。
「G7は日本の金融面の安定を支援するため、協力するだろう」と述べたうえで
「事態の深刻さを考えると」協調介入の可能性がある、との見方を示した。
 ファロス・トレーディングのマネジングディレクター、ダグラス・ボースウィック氏は
介入が迫っており、他国の中銀との協調で行う可能性があると話す。
同氏は、ドルだけでなくウォンや人民元の対円相場も、
日本が過去に介入に踏み切った水準に下落していると指摘した。

 国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は、
状況が「制御不能」と言うのは適切ではないが、事態は「極めて深刻だ」と指摘した。

 ニューバーガー・バーマンの為替ストラテジスト兼ポートフォリオマネジャー、ウゴ・ランチョーニ氏は
「現在、投資家への心理的な影響は非常に大きく、
これが円を押し上げている短期的な要因の一部となっている」と指摘。
「市場はポジションを縮小することによって、リスク回避に動いている。
日本の投資家は円よりも高利回りの海外資産を保有しており、こうしたポジションの巻き戻しの結果、
リパトリエーション(本国への資金還流)が起きるのは異例ではない」との見方を示した。

 市場参加者は、日本がドル買い・円売り介入を行う、と予想している。
コモンウェルス・フォーリン・エクスチェンジのチーフマーケットアナリスト、オメル・アイスナー氏は
ニューヨークが引けアジアが始まったばかりの時間帯に、介入が実施される可能性があるとみている。

 日本が介入したのは直近では昨年9月15日。
1ドル=83円付近に迫った際に、約220億ドル規模のドル買い・円売り介入を実施した。 
 日銀が刺激策をより長く維持する、との見方から、長期的には円の下落を予想する声もある。
ニューバーガー・バーマンのランチョーニ氏は
「金利が世界的に上昇し続けば、円は長期的には下落する」と述べた。

                                                                                                                                             
       日本経済不安で戦後最高値更新 投機筋、円需要見込む                                    

円高が一時1ドル=76円台まで進み、約16年ぶりに戦後最高値を更新したのは、
東日本大震災や福島第一原子力発電所の事故で
日本経済への不安が高まったことが背景にある。
日本企業が海外の資産を売って円資金の確保に走ると見た外国人投資家らが
円を買う投機的な動きが強まっているものとみられる。

 東日本大震災で、日本は未曽有の大打撃を受けた。
福島第一原発の事故も予断を許さない。日本が不安視されているにもかかわらず、
16日のニューヨーク外国為替市場では円が買われた。

 きっかけは、欧州連合(EU)高官が「福島第一原発は制御不能に陥った」
と発言したと伝えられたことだった。
日本が危機的な状況に陥れば、
日本の企業や機関投資家がいざという時のために使える手元資金を増やしておこうと、
海外の資産やドル資金を円に換えて国内に戻そうとする、
との思惑が外国人投資家の間に高まった。

 海外市場で巨額の資金を運用している日本の生損保などの機関投資家も、
いったん投資資金を日本に引き揚げ震災対応での支出などに備えるとの見方も出ている。

 こうした思惑などを背景に、円相場に大量の投機資金が流れ込んでいるものとみられる。
市場関係者によると、円高が進めば東京株式市場の株価も下がるとみた外国人投資家が、
円買いと株売りを同時に進める動きも出ている、との声もある。

 円高と株安の連鎖を食い止めるには、その最大の要因となっている原発事故を解決し、
今後の不安を打ち消すことが何より大事だ。

 円高は、輸出企業の収益に悪影響を与える。通常ではみられない急速な値動きは、
金融市場の不安を増幅させ、円高や株安に拍車をかける恐れもある。
投資家の不安が極度に高まり、パニック的な状況に陥らないようにしなければならない。
円相場で投機的な動きが活発になっているとすれば、
約半年ぶりとなる政府・日本銀行の為替介入も一定の効果が期待できるかもしれない。

 ただ、かつてない危機に直面している日本で円高が進むことはマイナスの面だけではない。
復興に向け、石油や食料などの輸入が欠かせない日本にとっては、
輸入品を安く買うことができる効果をもたらす側面もある。
市場関係者の間では「円高よりも、むしろ『日本売り』が殺到し、
株とともに円が急落するのが最悪のシナリオだ」(大手銀行関係者)との見方も強い。

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