東電、1号機の高放射線量を事前把握 作業員らに伝えず
東京電力福島第一原子力発電所(福島県大熊町、双葉町)
3号機のタービン建屋内で起きた作業員3人の被曝(ひばく)で、
3人が作業に入る6日前の18日、
1号機のタービン建屋地下で高い放射線量を確認しながら、
東電は作業員らに注意喚起をしていなかったことがわかった。
東電は「情報共有が早ければ被曝を防げた可能性があった」と認め、謝罪した。
東電福島事務所によると、
6日前の18日、1号機のタービン建屋地下1階で作業した際に放射線量を測定、
作業員の被曝線量の上限(250ミリシーベルト)に迫る
毎時200ミリシーベルトと高いことを確認していた。
一方、3人の作業員が3号機で作業を始めたのは、24日午前10時半ごろ。
作業員には1号機の情報は伝わっていなかった。
3号機では前日にはなかった水が深さ15センチになっていたが、
3人は前日の作業では線量が低かったこと、
「タービン建屋は通常、線量が高い場所でない」と思っていたことなどから、
水につかって作業をして、局所被曝した。
18日のデータが事前に伝わっていれば、
作業員らの思い込みを防げた可能性がある。
東電福島事務所の小山広太副所長は
「1号機の現場の状況の情報をしっかり各現場で作業している人たちに注意喚起していれば、
今回の被曝は防げたと思っており、反省している」と謝罪した。
東電は建屋内に津波による海水が残っていると考えて排水を検討。
その準備として水を分析するため、24日午前9時半に1号機で水を採取、分析した。
東電や経済産業省原子力安全・保安院によると、
3号機と同様、通常の原子炉内の冷却水より約1万倍強い、
1立方センチ当たり380万ベクレル(放射能の単位)の放射能が検出された。
含まれている放射性物質の種類は3号機とほぼ同じだった。
セシウム137など燃料に含まれる物質が検出されており、
原子炉内から漏れ出した可能性がある。
保安院は3号機の水の発生源について、
使用済み核燃料の貯蔵プールよりも原子炉内の可能性の方が高いとの見方を示した。
東電はまた、
2号機のタービン建屋地下でも表面付近で毎時200~300ミリシーベルトの
高い放射線量の水がたまっていることを明らかにした。
これにより、高い放射線量の水がたまっていたのは1、2、3号機となり、
今後、配管の損傷などからどういう経路で漏出が広がったのかを調べていくことになる。
水たまりの深さは3号機で最大1.5メートル、2号機は1メートル、1号機は40センチ。
4号機でも、放射性物質の状況は不明だが、80センチの水がたまっているという。
水たまりの危険性把握していた…東電伝えず
. 福島原発
福島第一原発3号機で作業員3人が被曝(ひばく)した事故で、
東電はタービン建屋地下に高濃度の放射性物質を含む水たまりがある危険性を把握しながら、
情報共有を怠ったため、作業員が水たまりに注意を払わず、
事故につながった可能性があることが26日、わかった。
東電は18日に1号機タービン建屋地下1階で毎時200ミリ・シーベルトの放射線量を検出、
水たまりに高濃度の放射性物質が含まれる危険性を認識していた。
しかし、3号機タービン建屋で被曝した3人が24日午前に作業を開始するまでに、
1号機に関するこの測定結果は作業員に伝わっていなかった。
1号機とよく似た3号機の作業場所に、
高濃度の放射性物質が含まれた水たまりがある可能性が伝わっていれば、
作業員の被曝は避けられた可能性がある。
作業員たちは汚染された水につかって作業を行い、
線量計の警報が鳴っても、誤作動と思い作業を続行した。
東電福島事務所の小山広太副所長は「情報共有を徹底していれば、
3号機の被曝事故は防げたはずで、反省している」と話している。
(2011年3月26日 読売新聞)
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