2011年7月12日火曜日

米国は30年前に原発電源喪失を想定、日本は18年前に電源喪失対策検討せず 重大性低ぃとバカ結論 

日本は18年前に電源喪失対策検討 「重大性低い」安全委結論


 東京電力福島第一原子力発電所が東日本大震災時に全ての電源を失い炉心溶融を起こした問題で、
国の原子力安全委員会の作業部会が1993年に、
全電源喪失対策を検討しながらも「重大な事態に至る可能性は低い」と結論づけていたことがわかった。
安全委は13日、当時の報告書をウェブで初めて公開した。今後詳しい経緯を調べるという。


 報告書は安全委の「全交流電源喪失事象検討ワーキング・グループ」が作った。
専門家5人のほか東電や関西電力の社員も参加。安全委の作業部会はどれも当時は非公開で、
今回は情報公開請求されたため、公表した。

 米国で発生した全電源喪失の例や規制内容を調査した。
その結果、国内では例がなく、米国と比較して外部電源の復旧が30分と短いことや、
非常用ディーゼル発電機の起動が失敗する確率が低いなどとした。
「全交流電源喪失の発生確率は小さい」
「短時間で外部電源等の復旧が期待できるので原子炉が重大な事態に至る可能性は低い」と結論づけていた。
ただし明確な根拠は示されていない。

   国内原発の大半、安全対策に難点 長期電源喪失想定など
東京電力福島第一原発の事故をめぐり、
朝日新聞が全国の10電力会社などに安全対策に関する調査を実施したところ、
大半が事故前、長期間の電源喪失など第一原発レベルの事故に対応する態勢をとっていなかったことが分かった。
第一原発で被害を拡大させた疑いがある安全設計上の問題を同様に抱える原発が多数あったことも判明。
各電力では、津波対策などに乗り出している。


 調査対象は、国内の17商業用原発で54基の原子炉を運転する計10電力と、
高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)を運転する日本原子力研究開発機構。
福島第一原発事故前の
(1)炉心溶融などの過酷事故の想定や訓練
(2)全電源喪失時のバックアップ態勢
(3)非常用ディーゼル発電機や海水ポンプの設置状態――について調べた。
 (1)では、10電力のうち東京、東北、中部各電力など7社と同機構が事故の際、
非常用バッテリーが動く5~8時間で外部電源などが復旧すると想定。
第一原発事故で起きたような数日間にわたる長期全電源喪失への対策や訓練はなかった。
 (2)では、福島第一原発事故の前は、関西電力を除く9社と同機構は、
原発内や付近に、外部電源などの喪失に備えた電源車を配備していなかった。
また、(3)では、福島第一原発で、非常用ディーゼル発電機が
水密性の高い原子炉建屋内に設置されていなかったことや、
海水ポンプが建屋内に収容されていなかったことが、
津波を受けた後の電源喪失事故に至った主要な原因ではないかと東電内で指摘されている。

これらの点について、四国電力伊方原発(愛媛県)や九州電力川内原発(鹿児島県)など
12カ所の計31基で、ディーゼル発電機が原子炉建屋ではなく、タービン建屋内などに設置されていた。
海水ポンプも、関西電力美浜原発(福井県)や九州電力玄海原発(佐賀県)など11カ所の計34基で、
屋外にほぼむき出しの状態で置かれていた。

 各電力は事故後、(1)については長期間の電源喪失を想定した緊急訓練を実施。
(2)の電源車も急きょ配備を進めている。
(3)については、「想定した津波より高い位置にあり、安全性に問題はない」(関西電力)との見方もあるが、
非常用ディーゼル発電機が置かれた建屋の扉を水密性の高いものに取りかえたり、
海水ポンプの周囲に防護壁を設置するなどの対策が進められている。

   原発の全電源喪失、米は30年前に想定 安全規制に活用

 東京電力福島第一原子力発電所と同型の原子炉について、
米研究機関が1981~82年、全ての電源が失われた場合のシミュレーションを実施、
報告書を米原子力規制委員会(NRC)に提出していたことがわかった。
計算で得られた燃料の露出、水素の発生、燃料の溶融などのシナリオは今回の事故の経過とよく似ている。
NRCはこれを安全規制に活用したが、日本は送電線などが早期に復旧するなどとして想定しなかった。


 このシミュレーションは、ブラウンズフェリー原発1号機をモデルに、米オークリッジ国立研究所が実施した。
出力約110万キロワットで、
福島第一原発1~5号機と同じ米ゼネラル・エレクトリック(GE)の沸騰水型「マークI」炉だ。

 今回の福島第一原発と同様、「外部からの交流電源と非常用ディーゼル発電機が喪失し、
非常用バッテリーが作動する」ことを前提とし、バッテリーの持ち時間、
緊急時の冷却系統の稼働状況などいくつかの場合に分けて計算した。
 バッテリーが4時間使用可能な場合は、停電開始後5時間で「燃料が露出」、
5時間半後に「燃料は485度に達し、水素も発生」、6時間後に「燃料の溶融(メルトダウン)開始」、
7時間後に「圧力容器下部が損傷」、8時間半後に「格納容器損傷」という結果が出た。
 6時間使用可能とした同研究所の別の計算では、
8時間後に「燃料が露出」、10時間後に「メルトダウン開始」、13時間半後に「格納容器損傷」だった。

 一方、福島第一では、地震発生時に外部電源からの電力供給が失われ、
非常用のディーゼル発電機に切り替わったが、
津波により約1時間後に発電機が止まり、電源は非常用の直流バッテリーだけに。
この時点からシミュレーションの条件とほぼ同じ状態になった。
 バッテリーは8時間使用可能で、シミュレーションと違いはあるが、起きた事象の順序はほぼ同じ。
また、計算を当てはめれば、福島第一原発の格納容器はすでに健全性を失っている可能性がある。
 GEの関連会社で沸騰水型の維持管理に長年携わってきた原子力コンサルタントの佐藤暁さんは
「このシミュレーションは現時点でも十分に有効だ。
ただ電力会社でこうした過去の知見が受け継がれているかどうかはわからない」と話す。

 一方、日本では全電源が失われる想定自体、軽視されてきた。

 原子力安全委員会は90年、原発の安全設計審査指針を決定した際、
「長期間にわたる全交流動力電源喪失は、送電線の復旧又(また)は非常用交流電源設備の修復が
期待できるので考慮する必要はない」とする考え方を示した。
だが現実には、送電線も非常用のディーゼル発電機も地震や津波で使えなくなった。
 原子力安全研究協会の松浦祥次郎理事長(元原子力安全委員長)は
「何もかもがダメになるといった状況は考えなくてもいいという暗黙の了解があった。
隕石(いんせき)の直撃など、何でもかんでも対応できるかと言ったら、それは無理だ」と話す。

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