2011年7月30日土曜日

円高76円台 金高1631ドル台 世界の市場揺らす米債務問題

米債務問題、世界の市場揺らす 円76円台、最高値に迫る      2011/7/30 14:00
 
  今週の金融市場は米債務上限の引き上げを巡り大荒れとなった。
米国の債務不履行(デフォルト)や米景気の減速を懸念したマネーのリスク回避が鮮明になり、
ダウ工業株30種平均は週間で今年最大の下げを記録。
円は対ドルで1ドル=76円台に突入し最高値に迫った。
債務不履行への不安が重荷だった米国債は、景気懸念が追い風となって相場が急上昇。
10年債利回りは約8カ月ぶりの水準に低下した。
来週も米債務問題をにらみながら市場は不安定な動きが続くとの見方が多い。


 29日のニューヨーク株式市場ではダウ平均が6日続落。
前日比96ドル87セント安の1万2143ドル24セントで引け6月27日以来約1カ月ぶりの安値を付けた。
週間の下げ幅は今年最大の537ドル(4.2%)に達した。

 市場心理を冷やしたのが米債務問題。
債務上限引き上げの期限とされる8月2日を目前に財政赤字削減をめぐる与野党の溝が埋まらず、
米国債の格下げや債務不履行の懸念が強まっている。

 これに追い打ちをかけたのが米景気の先行きへの不安だ。
29日発表の4~6月期の米実質国内総生産(GDP)は前期比年率1.3%増にとどまった。
同日は消費者心理を示す指標も弱い内容で、年後半の景気回復期待に水を差した。
米景気不安は欧州株にも重荷となっており、ドイツ株式指数(DAX)は3日続落している。

 外国為替市場では、リスクを嫌ったマネーが円に流れ込み円相場が続伸。
29日午後のニューヨーク市場では一時、1ドル=76円72銭まで円高が進み、
東日本大震災直後の今年3月、16年ぶりに付けた戦後最高値(1ドル=76円25銭)に迫った。

 円相場は日本時間の午前6時直前に上げ幅を急激に広げ、
わずか10分弱の間に20銭程度上昇した。

 市場関係者の間では「外国為替証拠金(FX)取引でドルを買っていた個人投資家を狙い、
取引が薄い時間に投機筋がドル売りを仕掛けた」(マネーパートナーズ)との見方が出ている。

 円は週間では約2円近くの上昇。
当局による円売り・ドル買い介入への警戒も強いというが、
債務問題の行方次第では「来週に最高値を試す」(邦銀ディーラー)との見方も出ている。

 金先物相場も逃避資金の受け皿として買いを集めた。
29日は3日ぶりに反発、
取引の中心である12月物は前日比15ドル高の1トロイオンス1631ドルで取引を終えた。
一時は1637ドルと中心限月として過去最高値を付けた。

 米債券相場は底堅く推移している。
指標となる10年物国債の利回りは29日に2.8%で終わり、
前日より0.14%低下(債券価格は上昇)。一時は約8カ月ぶりの水準まで下げた。

 債務不履行の懸念が高まれば通常は債券が売られ金利は上昇する。
だが、最近の経済指標悪化で
「足もとでは景気の先行き懸念のほうが強く意識されている」(調査会社MFR)ため、
運用リスクが相対的に小さい投資対象として債券が買われている。
米政権と議会が債務不履行を最終的には回避するとの見方が依然として根強いことも、
債券相場を支えているという。
 ただ債務上限の引き上げ問題が一段とこじれるようだと市場の不安が高まり、
混乱が広がると警戒する関係者も多い。
29日にはオバマ米大統領がホワイトハウスで演説し、
議会に対し債務引き上げ問題で早期に妥結するよう呼びかけたが与野党の溝はなお深い。

 期限の8月2日を過ぎても米財務省は国債への利払いを優先する資金繰り策を練っている。
だが格付け会社は早期に有効な債務削減策で合意できなければ
国債の格付けを引き下げるとしており、予断を許さない情勢だ。

NY円、続伸 1ドル=76円70~80銭で終了 米GDP低調で    2011/7/30 6:47
     29日のニューヨーク外国為替市場で円相場は続伸し、
前日比90銭円高・ドル安の1ドル=76円70~80銭とこの日の高値圏で取引を終えた。
一時76円72銭と、最高値を付けた3月17日以来、約4カ月半ぶりの水準を付けた。
米連邦債務の上限引き上げを巡る与野党の交渉に進展が見られなかったうえ、
4~6月期の米実質国内総生産(GDP)など低調な経済指標の発表が相次ぎ、
円買い・ドル売りが優勢となった。


 朝方発表のGDPの伸び率は市場予想を下回り、1~3月期が大幅に下方修正された。
7月のシカゴ購買部協会景気指数と同米消費者態度指数(確報値、ミシガン大学調べ)も
市場予想に届かず、米景気減速への懸念が広がった。
投資家が運用リスクを回避する姿勢を強めドルを売って円やスイスフランを買う動きが加速した。

 円の安値は朝方に付けた77円59銭だった。

 円は対ユーロで3日続伸し、
前日比90銭円高・ユーロ安の1ユーロ=110円40~50銭で取引を終えた。
対ドルでの円買いが波及した。
スペインやイタリアの国債利回りが上昇するなど欧州の財務問題への警戒感も根強く、
円買いが広がりやすかった。

 ユーロは対ドルで3日ぶりに反発。
前日終値の1ユーロ=1.43ドル台前半から1.44ドルちょうど前後に上昇した。
低調な米経済指標を受け、米国の緩和的な金融政策が長期化するとの観測が強まり、
ユーロ買い・ドル売りが優勢となった。
債務上限問題を巡る調整の難航も、引き続きドル売り材料だった。
この日の高値は1.4414ドル、安値は1.4243ドルだった。

 スイスフランは対ドルで上昇し、
前日の1ドル=0.80スイスフラン台前半から、0.78スイスフラン後半に水準を切り上げた。
一時0.7853スイスフラン近辺まで上昇し、最高値を更新した。

NY金、反発 12月物は1631.2ドルで終了 米景気懸念で最高値    2011/7/30 5:17

     29日のニューヨーク金先物相場は3日ぶりに反発した。
ニューヨーク商品取引所(COMEX)で、
取引の中心である12月物は前日比15.0ドル高の1トロイオンス1631.2ドルで終えた。
一時1637.5ドルと、中心限月としての過去最高値を更新した。
米景気減速への懸念から、実物資産の裏付けのある金先物に買いが入った。
米連邦債務の上限引き上げを巡る協議の難航も、引き続き買い材料だった。


 朝方発表の4~6月期の米実質国内総生産(GDP)の伸び率が市場予想を下回った。
1~3月期が大幅に下方修正されたこともあり、
今年上半期の米景気の減速傾向が鮮明となった。
投資家がリスク回避姿勢を強め、逃避資金の受け皿として金が買いを集めた。

 外国為替市場でドルが主要通貨に対して下落し、
ドルの代替投資先とされる金に買いを誘った面もあった。

 銀も3日ぶりに反発。プラチナは続落した。

0 件のコメント:

ブログ アーカイブ