震災10日後、二度目の溶融か 福島3号機、専門家指摘
炉心溶融を起こした東京電力福島第一原発3号機で、
東日本大震災から10日後、
冷えて固まっていた炉心の大部分が「再溶融」したとする説を専門家がまとめ、
来月、日本原子力学会で発表する。
東電は原子炉圧力容器底部の温度が低下した状態(冷温停止)を事故収束の目標としているが、
炉心の大半が溶けて格納容器に落下しているなら収束に向けた工程表に影響する可能性もある。
3号機は、炉内への注水が始まった3月13日午前9時25分まで約6時間以上空だきになり、
14日午前11時ごろには原子炉建屋で大規模な水素爆発が発生。
炉心が溶融し、圧力容器の底に落ちたと考えられている。
東電の公表データによると、3号機炉内への1日あたりの注水量はその後、
20日までは300トン以上を保っていた。 燃料は冷えて固まったとみられる。
ところが、注入できた量は21~23日に約24トン、24日は約69トンに激減した。
圧力容器の圧力が高まり、水が入りにくくなった可能性がある。
旧日本原子力研究所で米スリーマイル島原発事故などの解析を手がけた
元研究主幹の田辺文也さんによると、
この量は炉内の核燃料の発熱(崩壊熱)を除去するのに必要な水量の11~32%しかない。
1日もあれば全体が再び溶ける高温に達する計算になるという。
田辺さんは大規模な「再溶融」によって高温になった核燃料から大量の放射性物質が放出され、
大半が圧力容器の底から格納容器まで落ちたと推測する。
東電は、燃料が十分に冷えたことを示す冷温停止を、
事故収束の第2段階(ステップ2)終了の目標とし、
政府もそれをもとに住民対策などの工程表を策定している。
田辺さんは「公表データによると再溶融は明らか。
冷温停止を判断する場合、溶融物がどこにあるかによって、温度を測るべき場所が変わる。
原子炉の中で何が起きたかきちんと分析すべきだ」と指摘する。(安田朋起)
東電、爆発予兆示すデータ報告せず 福島第一3号機 2011年6月25日15時1分
東京電力福島第一原子力発電所3号機の水素爆発について、
東京電力が爆発の予兆データを前日につかんでいながら
経済産業省原子力安全・保安院や自治体に法令に基づく通報をしていなかった。
保安院が24日夜にウェブサイトで公表した原子力災害対策特別措置法第10条による
東電からの通報資料でわかった。
危機対応時に政府と重要な情報の共有、連携ができていなかった疑いがある。
資料は保安院にファクスで送られた約1万1千枚。それによると、
3号機は3月14日午前11時ごろに水素爆発を起こし原子炉建屋の上部が吹き飛んだ。
しかし、その予兆を示すデータなどの報告はなかった。
すでに東電が公表している資料では、
13日午後1時17分に、3号機の原子炉建屋で毎時300ミリシーベルトの放射線を観測、
午後2時7分に建屋内に水素がたまっている可能性が高いとの記述がある。
14日午前5時20分には、本店から3号機の水素濃度を算出するよう指示していた。
地震や津波で冷却機能を失った原子炉内で、燃料が露出し、
水素が発生していたことを示す内容だが、今回、通報していなかったことがはっきりした。
保安院の西山英彦審議官も5月の記者会見で
「3号機の爆発前に保安院が事態を把握していれば公表しているはず。
事故の中身を調査する中で調べていくべきだ」とし、東電の姿勢を検証する姿勢を示している。
また、国会で中断が論議になった1号機の原子炉圧力容器への海水注入について、
3月12日午後8時20分に注入を開始したと、
事実に反する内容を保安院に報告していたことを示すファクスも今回、公開された。
実際は12日午後7時4分から注水を始めてそのまま続けていたが、
「20時20分に消火系ラインを使用して海水による原子炉への注入を開始した」と記されていた。
(杉本崇、佐々木英輔)
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保安院発表資料、記載漏れなど133件 福島第一事故
経済産業省原子力安全・保安院は1日、福島第一原発の事故状況や復旧作業をまとめた発表資料で、
記載漏れや誤記など計133カ所が見つかったと発表した。
東電からの通報や作業の内容などを記した「地震被害情報」。
事故発生の3月11日から保安院が随時、更新してきた。
国際原子力機関(IAEA)への報告書の作成のために東電からのファクスの点検などをするうち、判明したという。
大半は東電や首相官邸などが公表しているデータだ。
ただし、3月11日夜に東電から2号機の原子炉の燃料損傷や、
原子炉圧力容器が壊れ始める推定時刻などの重要な情報について報告を受けていたのに、
保安院としては発表していなかった。(西川迅)
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