2008年1月6日日曜日

国は世界最大の柏崎刈羽原発議事録を保管せず

原発審査部会議事録保管せず
 中越沖地震で東京電力柏崎刈羽原発が設計時の想定を大幅に超える揺れに襲われ、過去の安全審査に対する疑念が浮上している問題で、国が、同原発1号機を担当した審査部会の議事録を保管していないことが5日、新潟日報社の調べで分かった。同原発2―7号機のほか、1号機と同時期に行われた九州電力玄海原発など複数の他施設の担当部会議事録は残っているため、作成後に紛失したか、何らかの理由で廃棄した可能性が高い。 柏崎刈羽1号機の審査は、世界最大の原発集積地となる同原発で原子炉設置を最初に検討したもの。同原発の安全審査をめぐっては、東電による海域断層の過小評価や、逆断層を正断層とする初歩的なミスを見逃した責任が問われている。これらの原因究明と審査体制の検証を行う上で、議事録がないことは大きな障害となりそうだ。 問題の議事録は1975年から2年以上かけ、1号機の設置許可申請を審査した「120部会」の審議内容をまとめたもの。この部会は当時、原発の安全審査を担っていた原子力委員会原子炉安全専門審査会の中に設置され、安全性を詳細に検討していた。分科会や現地調査も含めて90回開かれた。 原子力委から審査の役割を引き継いだ原子力安全委員会は同日までに、本社の情報公開請求に対し、「(120部会の)議事録を保有していないことが判明した」と回答。「議事録が作成されたかどうかも確認できない」としている。 しかし、当時120部会の事務局を務めた旧科学技術庁の元職員2人は取材に対し「担当者が議事録を作成したはずだ。部会では毎回、前回の議事内容を読み上げていた」と証言している。 一方、柏崎刈羽原発1号機と同じ70年代に行われた審査では、少なくとも東電福島第二1号機(福島県)、四国電力伊方2号機(愛媛県)、九電玄海2号機(佐賀県)、同川内1号機(鹿児島県)の各部会議事録が現在も保管されている。 中越沖地震による原発被災を受け、経済産業省に設置された調査対策委員会の委員を務める若山正樹・柏崎市副市長は「当時の安全審査について国に説明してもらいたいと思っていたので、残念だ。当然保管するべきで、しっかりしてほしい」と話している。 原子力安全委によると、議事録などの当時の保存規定については不明としているが、現在は30年間は保存することになっている。 新潟日報2008年1月6日

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